コラム:トランプ関税が日本に及ぼす影響、まだあるかれリスク=熊野英生氏
2024-11-14
著者: 海斗
【東京 14日】 - すでにトランプ次期米大統領の話はうんざりするほど報じられているが、筆者はまだ深く掘り下げられていない論点があると感じている。本文ではその中でも、トランプ関税などの貿易と、それに関連する為替について記したい。
まず、トランプ氏は輸入品に10%〜20%の関税を、新たに設けるよう指示している。特に中国には15%もの追加関税を課けるとしている。この措置は米国が輸入品を買うときに割高になり、そのために報復関税が生まれるという悪循環が見込まれる。実際、中国や欧州連合(EU)は前回のトランプ政権時に報復として関税を引き上げた。これにより、日本企業にとっても、中国市場や米国市場での競争が一段と厳しくなる可能性がある。
また、自国がトランプ政権の関税政策による影響を受けるのは企業だけではなく、私たち一般消費者にも波及すると言える。例えば、自動車の輸入価格が上昇すれば、最終的にはそのコストが消費者に転嫁されることになる。さらに、日本政府もトランプ氏の関税政策に対抗するために、高関税をかけることも考えており、それによって逆に国内経済には負の影響が出る恐れもある。
自国がトランプ政権の影響を考えた場合、次にその国は何をするだろうか。答えは簡単、それは貿易の切り下げである。高関税の影響を受ける国が市場に割高なコストを負担し、報復としても関税を下げることができない。こうした形で、トランプ政権の施策は国際的な商取引を困難にし、米国からの輸出が極めて厳しくなる可能性が指摘されている。
日本も、この難局に立たされている。特に、自国の輸出がトランプ政権の関税によって影響を受け、農業や製造業などいくつかの分野が特に打撃を受けるとの懸念が強まっている。例えば、オートメーカーや鉄鋼業などは実際には生産が難しいとしばしば警告される。もし自国が高関税をかけた場合、果実や野菜などの輸入品価格の上昇が、生産者にも影響を与えるだろう。
加えて、トランプ氏の施策に対抗するためには、国際的な経済の協力体制構築や、他国との連携を進めることが今まで以上に重要なポイントである。日本がその構築に力を注ぐことで、他国との経済連携を強化し、トランプ政権に対抗する道を探ることが促される。さらに、経済の安全保障という観点から、国内の産業を守りながら、健全な貿易関係を維持する努力も不可欠である。
このように、トランプ政権の影響やその政策に対しては日本も懸念しており、今後のビジネス環境がどのように変わっていくか注視する必要がある。