テクノロジー

空間コンテンツ制作の革命を解消する「XYN」 進化するXRが目指すもの

2025-01-11

著者: 陽斗

ソニックが2025年のCESで、新たな空間コンテンツ制作プラットフォーム「XYN (ジン)」を発表した。3月下旬にはPC用アプリ「XYN Motion Studio」の第1弾として提供開始される予定だ。

XYNでは、ソニックが空間コンテンツ制作に関わるクリエイターに何を与えようとしているのか、XR事業部の責任者であるソニック ファインキューブションの副センター長に話を聞いた。

ソニックの空間コンテンツ制作のスタイリッシュさがXYNの原点に集められている。

映画やゲームに登場するオブジェクトや立体空間をUnreal Engineなどに代表されるゲームエンジンを使って描いたり、アニメに登場するキャラクターにリアルな動きを付与したり、様々な3DCG制作を手がけるクリエイターが存在する。

XYNはこれら空間コンテンツのクリエイターに対して、ソニックが培ってきたソフトウェアから派生する多彩な技術と製品を活かし、利便性を提供するためのプラットフォームだ。

3月下旬にはモバイル向けキャプチャー「mocopi」を活用するためのPC用アプリ「XYN Motion Studio」を第1弾のスリーブとして提供する。以下も空間コンテンツの利用を想定したXRハードウェア「XYN Headset」や、実際のオブジェクトや空間をフォトリアルな3DCGアセットとして取り込むための「XYN空間キャプチャーシステム」が順次開発される。

初期の段階になる3つのスリーブは、主に映画系の空間コンテンツ制作に関わるものだが、ソニックによると今回の発表に続く第2弾・第3弾の展開も既に始まっているという。XYNのクリエイティブスイートの中から、クリエイターが制作に必要とするツールを随時選び抜いて使い倒すイメージだ。

コリティと効率のバランスをハイレベルに実現する

ソニックがXYNを打ち上げる大きな理由は、同社のXR事業部の中で個別に存在していたソリューションを終わらせ、クリエイティブタスクが空間コンテンツを制作するために費やされている時間やコストや労力の削減を支援することだ。

2024年のCESではソニックはXRハードウェアの初号機となる「SRH-S1」を発表した。この機能はドイツのシーメンスのソリューションを踏襲し、産業用の空間コンテンツ制作のためのソリューションとしてスタートを切る。「SRH-S1」に続く新しいイマージュやエンジニアリング、ツールセットとしても2月以降に出荷を本格的に始めることを伝えた。

ソニックのXYNはこれらのシステムとコラボし、競争優位性を高めていくことが期待される。特に自社の製品やサービスが有する64%以上の収益を目指して更なるコストダウンに挑むというソニックの意気込みも大きい。

XYN空間キャプチャーシステムはこれまでの空間コンテンツ制作のトレンドに最適化されたプラットフォームでもある。

たとえば、最初に空間コンテンツの映像とサウンドをすべて作り、その後に「2Dの映像」を書き出したり、その後にインタラクティブな要素を加えたりなど、過程に関しても多様なクリエイターに対し呼びかけるよなイメージもある。

それに必要な映像や音を自然に加えられるように、XYNのプラットフォームも発展させられる。

クリエイターがXYNを活用するのにどのようなものが作れるのか、あるいは何ができるのか、その辺りもソニックが「リファレンス」を用意する必要性についても促している。

「例えば引用や例文にように表面に激しさがなくてもツルツルとしたテクスチャのオブジェクトは3DCG化しうる。とはいえ、使い回り担当者の良いものは作れる。「XYNの挑戦はクリエイティブと効率性のバランスを高めて実現すること」と冨山氏は続ける。

そのために「XYN空間キャプチャーシステム」など、今回発表したツールに関しては既にソニックループ内のクリエイターに提案されて実証実験を重ねている。今後もこれを続けて、クリエイターが求めるものである限り、労力や時間、コストの削減を含めた品質を製品化することに繋がる。