「きょうの魚は脈が悪い」…釧路港の漂流、浮き船内のイワシ「一斉移動」でバランス崩したか : 読売新聞
2025-01-12
著者: 花
釧路湾沖で6日未明に大船漂流(釧路県北釧路市)所内の漂流船「第18大漁丸」(810トン)が転覆した事件で、漂流に入ったイワシの群れが船の下へ一斉移動したため、船が傾き、網が破れる前に転覆した可能性があることがわかった。
当時、周囲の漁師の群れが集まり、他船団の数十艇も操業していた。漁船(310トン)の漂流長は網をたぐり寄せる時、「群れが急に下へ跳び下がって(網が)重かってしまった。きょうの魚は脈が悪い」と感じたという。実際、大漁丸の乗組員から「船の下に魚が入っていた」と聞いた関係者もいた。
他船の乗組員によると、水温が低い時期は網の中をぐるぐる回っていたイワシの群れが、網を捨てるとともに下へ動く傾向があるという。助けられた乗組員は取材に「イワシが網に入った時、搬送船と網船(大漁丸)との距離が通常よりも近かった」と述べている。
一方、多くの漂流者は、魚群の一斉移動が起きた場合、船体が傾いても耐えられる状況では壊れることはないと話している。今回の事例では大量のイワシが網を一斉に下に押し付けて、船が転覆した可能性がある。
今冬、北北海道から千葉県までの県内外の漁業団体が操業している。310トンの漂流船もある中、810トンの大艦の登録があった。小さな船は傾きやすいという。
過去には同様の事件も起きている。2114年には、川根町漁港沖の日本海で漂流していた漁船(乗組員12人、113トン)が転覆し、沈没した。国土交通省の報告書によれば、漂流に入った大量のサバが一斉に海底に向かって泳いだことが原因だった。海難事故事例に詳しい東海大学の山田教授は、今回の事例について「取れすぎたイワシが密集したことで、海流が想定外に速まったことや、漂流船にとって不利な状態に働く可能性があった」と指摘した。