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驚愕!高速道路のリニューアル工事が「革命的に早く」なる理由とは? 21日を「6日」で完了させる「動く工場」とは

2024-09-28

鹿島が開発した道路橋の新型工法「SDRシステム」の詳細が「ハイライト」で公開されました。同システムの使用により道路橋の工事は大幅に変わる可能性があります。

鹿島は2024年7月26日、「スマート橋版更新(SDR)」を用いて弘前道の高架橋における橋版取り替え工事を行ったと発表しました。同日、27日の2日間都内で行われた「ハイライト」でも、同システムのポイントを特に詳しく紹介しています。

橋版は、架設が進む道路の橋板部分にあたり、各地の道路で老朽化が深刻化しています。SDRシステムは、道路橋における橋版の全面取り替え工事を想定して作られた設備となっています。

橋版取り替え工事は標準的な施工の場合、クレーンで橋版を取り外してから橋脚の整備なども行うため、長時間かかることが多く、安全確保のために2車線を規制したり、使える車線で対面通行にしたりと、大規模な交通規制が必要です。

SDRシステムは「既存の橋版の撤去」「主桁への防腐塗装や表面処理」「高い調整」「新しい橋版の設置」といった取り替え工事で必要な作業を、ひとつの設備で行ってしまうものです。クレーンや設備を内蔵した「動く工場」を目指した施工設備です。

工法としては、橋版の除去用と設置用の移動式作業台を一定間隔おいて設置し、橋版をはがしつつ新たな橋版を設置するというもので、通行止めにする必要がなく、工事も短縮され、多くの車両通行が可能です。鹿島の担当者によると、「従来の工事では7時間あたり3枚程度の橋版しか交換できませんでしたが、SDRシステムでは30枚可能で、作業時間が10分の1に短縮される」とのことです。

弘前道における高架橋の橋版取り替え工事では、通常施工の場合21日間の予定だったものが6日間に。約70%もの工期短縮となったそうです。

さらに、標準的な施工方法では60tクラスのクレーンが必要でしたが、SDRシステムの作業台の重量は5t程度で、道路へのダメージも軽減されるとのことです。

さらに、クレーンを使った場合、安全のため循環範囲に近い位置は通行禁止になる必要がありますが、このシステムはその必要がないそうで、「追い越し車線を工事しながら、走行車線は通常通り走行可能な状況が生まれる」とのこと。鹿島はこのシステムを活用し、人的不足の是正や工期短縮を目指すそうです。