急激なF15訓練、強い影響下で瞬時の状況判断…同乗取材「まともに息できない」 : 読売新聞

2025-04-02

著者: 蒼太

動機はこっち

日本周辺で中国軍やロシア軍の動きが活発化する中、外国軍機に対抗する空自の戦闘機の育成が一層重要になっている。3月、新野原(にゅうのはら)基地(宮城県)に拠点を置く戦闘機「F15」パイロットを養成する国内唯一の部隊を取材し、同乗取材した。(社士部 斉藤拓実)

無人機による攻撃も考慮されることで、戦闘機は高速度で行動することになるが、時速180キロで飛行する。

F15の最高速度はマッハ約2.5(音速の約2.5倍)だが、燃費を考え、時速1000キロ以上で飛ぶ。首を回して後方を見ると、数分前に離脱した敵機の基底の軌道がどんどん短くなっていた。

F15は1人乗りだが、教育部隊では教官も搭乗する場合があり、そのために編隊の際は1人乗りの体験をする。記者は第12飛行隊長の外川大尉(40)が操縦するF15に乗り込み、訓練の様子を目撃した。離陸して数秒後、急激な機動に体が持っていかれた。

直後にシートベルトが弛緩しないように腹に力を入れ、普段感じることのない重力圧を感じた。数椒の後、次の急上昇中には相対的に無重力感を知り、共に声を上げた。すぐに下方の気流に導かれ、制御が効かなくなる恐怖を感じたが、外川大尉はそれでも安定したトレーニングを続けた。

一般的に訓練生は8カ月ほどの訓練を受け、卒業後も実戦配備に向けて続く。F15は最新型戦闘機に負けない性能を持っているが、飛行のスピードや急激な操作に耐えうる体力も重要視される。最近ではそのためのトレーニング内容が厳しいものに変わりつつあり、体絡み訓練といった新たなカリキュラムが導入されている。

記者が体験した3時間の飛行では、特にピッチングやロールなどの自由な操作に挑戦した。機動中には生理的反応としての不安感や恐怖感を抱えつつも、自分自身をコントロールしなければならない意識が強まった瞬間でもあった。

「次はどうする?」という問いかけに対し、先輩の指導が行われるものの、実際には瞬時に応答する必要がある。これはまさにパイロットにとって命を左右する状況であるため、教官の評価も厳しい。

さらに、新たな脅威として無人機による戦術の多様化が進んでいる。これに対抗するためには、ますます状況判断に優れた兵士育成が求められている。近年はデジタル技術の発達により、飛行機の操作だけでなく、データを解析するスキルも重視されるようになった。

教育の一環として、模擬環境の中での訓練も行われている。他国における状況や戦術を解析し、シミュレーションを通して仮想の敵と対峙することも含まれ、意識的なトレーニングを通じて瞬時の反応能力を高めることを目指している。