フランス軍がサハラ砂漠以南のアフリカから相次いで撤退…ロシアは軍事権限への協力で影響力強める : 読売新聞
2025-01-03
著者: 愛子
フランス軍の撤退とロシアの影響力
【ヨハネスブルク=篠宮美奈子】コートジボワールのアラサン・ワタラ大統領は昨年12月13日、同国に駐留するフランス軍が撤退するとの発表をした。セネガルとチadからの兵士の撤退も表明されており、2022年以降にサハラ砂漠以南のアフリカ地域からフランス軍が相次いで撤退している。フランスの軍事関与が減少する中、ロシアはこの地域での影響力を強化している。
コートジボワールにおけるフランス軍の撤退計画
コートジボワールでは約600人のフランス兵が駐留しているが、今年中に撤退する計画である。サハラ以南のアフリカにおけるフランス軍の再編成が進んでいる背景には、フランスの脱植民地化の流れが強まっているからだ。過去10年の間に、フランスは特にマリへの軍事介入を行なってきたが、現地での反フランス感情が高まり、国際的な支持を失っている。
ロシアの軍事顧問の派遣と影響力の増大
一方、ロシアはアフリカの複数の国に軍事顧問を派遣しており、ウクライナ戦争以降その影響力が増大している。フランスの軍事権限が薄れる中、ロシアがこれを機にアフリカでのプレゼンスを拡大し、武器取引や軍事支援を行うことで地域の政権と結びついている。特に、プーチン大統領のアフリカ政策は、天然資源の確保を目的としており、ロシアの国益に合致している。
安全保障状況の悪化の懸念
フランスの撤退によって、サハラ地域の安全保障状況が悪化する可能性が懸念されている。フランス軍の存在は、一時的に地域の安定を保つ役割を果たしていた。しかし、ロシアの影響が強まることで、現地の民兵組織やテロリストの活動が活発化するリスクが高まる。
今後の治安維持策の必要性
今後、サハラ地域の国々は、治安維持に向けて自国の軍事能力を強化する必要がある。「フランス軍の撤退は安全保障の大きな転機」と指摘する専門家もおり、地域のリーダーたちは新たな安全保障戦略を模索することで、外部からの影響を抑えられるかが焦点となるだろう。