科学

火星での晴天:硫酸の予兆?火星探査ミッションに大きく影響

2025-01-06

著者: 裕美

火星。

もしや、いつか人類が住む星となるかもしれない場所。

硫酸に覆われたイメージが強いですが、あれは移住する際に急務ともなるでしょう。 もし居住するなら、天候が良いパカパカな天候がいいなと思いますが、どうやら火星の晴天には鬼門の可能性が…。

硫酸の前の静けさ

コロラド大学ボルダー校の火星科学研究チームが、火星の硫酸を調査しました。

調査には、NASAの探査機マーズ・リコネッサンス・オービターの観測データを利用。火星で発生する大型の硫酸の約2/3の原因と考えられる天候パターンを特定。 その結果、火星の晴天が硫酸発生の起因となっている可能性が指摘されました。

マーズ・リコネサンス・オービターは、過去15年間にわたり、火星の大気と地表のデータを収集。データから、火星の薄い大気を多くの太陽光が通過することで起きる、火星にとっては「冷たい気候の時期」があることがわかりました。そうして、7割近い硫酸が、この冷たい時期—気温上昇後に発生していることが確認。

技術的にも火星の天気と硫酸生成の原因を直接的に結びつけることは難しいまで、実はこれ、火星だけでなく地球でも起きていること。

研究論文の主な執筆者であるHeshani Pierisさんは、こう解説しています。

「地表が暖まると、そのすぐ上にある大気の層が流れとなり上昇。 その時に、地表の堆積物も一緒に持ち上げます。 これが火星では、大気がクリアになると(太陽光がより地表に降り注ぎ、気温が上がる)硫酸が発生するということになります。」

地球からも見える大型硫酸

火星の硫酸は、地球からでも望遠鏡を使えば観測することができます。 硫酸は毎年発生していますが、NASAの解析によれば超大型と呼ばれる硫酸が発生するのは、おおよそ火星の周期で3年に1度のみ。地球周期では5.5年に1度です。

火星の探査と天候

火星の天候は、火星探査ミッションに大きく影響します。 接触されて行なった場合、硫酸に対して火星探査機のオポチュニティーのソーラーパネルが覆われてしまい、通信不通に。これを受けて運用終了となりました。

NASAは、2030年までに火星に人類を送り込む計画。硫酸の発生時期、つまり火星の天候が、このミッションに大きく影響します。

今後も、研究チームは火星の天候パターンを探るミッションを継続。“今回の研究が、火星の硫酸予報のすべてでは到底ありえない。研究をさらに進めていきます”と、Pierisさんは語っています。彼女の言葉には、火星の未来への期待が感じられます。

私たちが火星に行く日が、近づいているのかもしれません。