健康

HIV感染からAIDS(エイズ)発症までの歴史:現状と今後の取り組み

2024-09-29

近年、HIV感染者が増加傾向にある中、ウイルスの変異が頻繁に見られ、治療法や予防策に人々が困難を感じている。現在、HIVも進行し、適切な治療を受けなければ症状は悪化しやすいことが分かっている。このままでは「流行終結」に至らないのは、必要な人に支援が行き届いていないことにも起因しているという。

HIVに感染すると、免疫の調整を担うリンパ球が攻撃される。発熱や頭痛など風邪に似た症状を訴える人もいるが、無症状の人も多く存在する。感染から発症までの潜伏期間は数年から10年以上に及ぶこともあり、体内でウイルスが増加する一方でリンパ球は減少していくため、免疫力が次第に低下していく。

治療を受けていないと、健康な人に対する自体の感染が広がる可能性が高く、「日和見感染症」と呼ばれる病気にかかる危険も増す。活動性結核や肺炎、カンジダ症といった感染症が見受けられ、重篤な症状に至ることもある。

近年の医療の進展により、抗HIV薬は進化し、感染者が安定した生活を送れるようになっている。患者の60%以上が治療を受けることができるようになり、抗HIV薬の服用によりウイルス量を抑えることが可能となってきた。

「自分は大丈夫」と思っている人が多いが、新規HIV感染者は日本でも依然として増加を続けており、特に、近年では新規感染者の中で約3割が10代後半から20代にかけて占めており、高齢者にも感染のリスクが高まっていることが懸念されている。

医療面では、1996年に行われた国際エイズ会議で、「抗レトロウイルス療法」が確立されたことにより、その後の治療法や予防策の基盤が築かれた。いまや多くの国々がHIV感染症対策の強化に取り組んでいる。

さらに、HIV感染を予防するための「PrEP」も導入され、世界中で多くの人々に使用されている。日本でも「ツルバダ」が8月末に予防目的での使用が認められ、注目されている。

資金調達に関しては、2002年にシスが設立された「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」が重要な役割を果たしており、日本が開催した2000年のG8で、エイズ対策を重要議題に据えたことも影響している。

国連は2021年の高レベル会合で、2030年までの流行終結を目指す方針を再確認し、2025年までの数値目標を設定した。HIV感染者の95%が感染を自覚し、その95%が治療を受け、さらにその95%がウイルス量を抑えることができるようにすることが求められている。

一方で、HIV、エイズに関する問題に取り組む国連機関、国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、2023年には130万人が新たにHIVに感染すると予測している。

長くエイズ患者の治療や患者参加型医療が実施され、全国的陶社プロジェクトも行われている。エイズを終わらせるための一つの道具は、今後どのように社会に実装されていくのか期待される。「エイズを終わらせるための道具は、共に存在する。あとは、社会にどう実装していくかに掛かっている」と専門家は語る。