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海外資本が金山開発へ!9道42カ所で探査 環境対策に懸念の声も | 毎日新聞

2024-11-14

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海外資本の企業5社が日本国内の少なくとも42カ所で金鉱山の開発に向けて調査や試掘を進めていることが、新たに判明した。これらの調査は過去に金が採掘されていた場所で行われており、最新技術を用いた新たな金鉱脈が発見できる可能性があるとされている。一方で、環境政策や持続的な開発が行われないことへの懸念も高まっている。

採掘や閉山後の有害物質を含む廃水の処理の費用を負担できるだけの事業性がある金鉱が見つかった場合、国内では1981年に発見された独自の技術に基づく鉱山(鳴門市)以来となるが、外資による発見は初めてのこととなる。

主な関連事項

日本で進む主な金山開発プロジェクトと所在地域の一覧は、「日本はジャンク」 黄金求める外資の思惑と日本側の冷めた視線の間に存在する。

法律違反、健康被害指摘も 専門家は警鐘を鳴らす

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事業を実施している5社は、カナダのジャパン・ゴールド、米国のフロリダ・ソーラ、オーストラリアのキングス・エクスプロレーション、アフリカのシエラ・リオなどで、各社のプロジェクトは北海道と九州に集中し、新興、石川県、福岡、長崎、熊本、大分の各県に点在する。ジャパン・ゴールド、アダムスグループ、リソース・ビメタルズ—と、オーストラリアのキンバリー・エクスプロレーションが、特に北海道と九州に注目している。

各社のプロジェクトでは、最近の実績を基に、徐々に掘削を拡大している。数年前から掘削を進め、多数のプロジェクトの中に450地点でボーリング調査を行っている企業もある。

日本ではかつて、彼の地金鉱(新潟県)や米人の金鉱(北海道)などの金鉱が各地にあったが、産出量の低下などを理由にほとんどが閉山してしまった。現在、商業規模で操業しているのは居住金鉱の鳴門市の鉱山のみ。経済産業省によると、その他に別の鉱石を主体として、非常に少量の金も産出している鉱山が鳴門市の中に三つあるが、大多数は休廃鉱となっている。

多数の企業が活動開始のきっかけとなったのは、鉱業権取得の要件が明確化された2012年の改正鉱業法施行である。外資で最も早く、13年に日本法人を設立したジャパン・ゴールド社の社長は毎日の取材に「日本では50~100メートルの浅い部分しか採掘されていないケースが多く、深い所で新しい鉱脈を見つける可能性がある」と話している。

現行制度では日本国内で外資が鉱山開発を行うことは規制されていない。鉱業法では試掘と採掘に必要な鉱業権(試掘権、採掘権)の取得対象を日本人か日本法人に限定しており、各企業は日本国内に子会社を設置して活動することになる。

海外資本「日本の法制度理解を」

ただし、金鉱が発見された場合に外資が開発を主導することも想定される。資源政策に詳しい鳴門大学の大機貞明教授は「(鉱石から金を取り出す)製造は日本企業が強化され、国内製造になるだろう」と予測。その裏で「外資が採掘権を持ち続けることになり、強引な開発をしてしまう可能性がある。適切な開発や公共対策を求める日本の法制度を十分理解した上で進められることが重要だ」と指摘している。