
グーグル、ビジネス向けGmailに簡単なE2EEメールのβ版提供開始
2025-04-01
著者: 陽斗
米グーグルは「Gmail」の21回目の誕生日である4月1日(現地時間)、ビジネス向けGmailに、E2EE(エンドツーエンド暗号化)を持つ新機能を発表しました。
企業がE2EEを実現するには、S/MIME(Secure/Multipurpose Internet Mail Extensions)プロトコルを利用するのが一般的ですが、S/MIMEの導入や運用には、IT部門による証明書の取得、管理、各ユーザーへの展開といった大規模なリソースが必要です。また、送信者と受信者の双方がS/MIMEを設定していることを確認し、暗号化されたメールをやり取りする前に証明書を交換する煩わしさがあります。
これに対抗する形で、Gmailの新しいE2EE機能は、ユーザーが特別な設定や事前の準備をすることなく、簡単にE2EEメールを送信できるよう設計されています。証明書の交換は不要で、カスタムソフトウェアやプラグインの利用も必要ありません。暗号化キーは顧客自身が管理することになるため、データプライバシーもより強化されます。
新しいE2EEを使用するには、ユーザーはメール作成ウィンドウで暗号化オプションを選択するだけです。Gmailのアカウント(ビジネスアカウントおよび個人のGoogleアカウント)で受信したメールは、受信トレイで自動的に復号化されます。
Gmail以外の受信者には、Google Workspaceのゲストアカウントにログインするためのリンクが提供され、制限付きGmailでメールを表示・返信することが可能です。この機能は、2022年に発表されたGmailのクライアント側暗号化(CSE)技術に基づいています。CSEは、2023年2月からEnterprise Plus、Education Plus、Education Standardで利用可能で、ビジネスや教育機関での活用が期待されています。
グーグルが目指すのは、今後ますますデジタルセキュリティが重要視される中で、ユーザーに対して安心してコミュニケーションを取る環境を提供することです。「向こう数週間以内に」Gmailの受信トレイに送信されるメールに対してこのE2EEを適用する予定で、「今年後半」にはサードパーティーのメールプロバイダーにも適用する予定です。