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高齢者の年金減少、労働力不足への対応は完全に間違っている - 日本経済新聞
2024-11-19
著者: 健二
厚生労働省は一定の収入がある高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金制度」を見直し、減額の対象者を縮小する方向で調整に入った。この動きは、高齢者の就労を促進するとともに、働き手不足にも対応するためのものだ。
年金財政を安定させるため、厚生労働省はあわせて高所得の会社員の保険料負担を引き上げる案も検討している。25日に開かれる社会保障審議会(厚生労働省の諮問機関)年金部会で提案される予定だ。年末までに方向性を固め、年明けの通年改正に向けた議論を行う方針だ。
多くの高齢者が就労を希望している一方で、労働市場の流動性不足や賃金の低さが障害となり、なかなか就業に結びつかない現状がある。賃金を引き上げることで、働きたい高齢者を労働市場に参加させることが可能になる。これにより、少子高齢化という深刻な問題に対処することが期待されている。
しかし、年金制度の見直しが進む中、ただ単に年金を減額する施策のみでは根本的な問題解決には至らないとの批判も多い。高齢者の健康やスキル、ライフスタイルに応じた柔軟な雇用形態を推進する必要がある。特に、テクノロジーの進化により、高齢者でも取り組みやすいリモートワークなどの形態が増えているため、これを活かすべきだ。
さらに、専門家からは、高齢者の経験や知識を活かしたボランティア活動や社会貢献の促進も重要とされている。このような取り組みがなされれば、高齢者が活躍できる場が増え、社会全体の活力向上にもつながるだろう。