夫婦別姓の子供の名前は家庭裁判所が決める新たな家族法制の影響とは

2025-01-05

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選択的夫婦別姓に関する令和3年12月の内閣府の世論調査では、「旧姓使用を希望する」が最も多い42.2%を占めたが、この結果を受けた大手メディアは極度に取り上げない。

同じ調査において、別姓夫婦の子供への影響について「あると思う」は69%、「ないと思う」は30.5%という結果もあり、「ある」と答えた人の理由(複数回答)は「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78.6%、「親との関係で違和感や不安感を覚える」60.1%が多かった。

では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の法制改正案はどのような内容だったのか。子供の姓については「出生の際に父母の協議で定める」としており、一致しない場合は「家庭裁判所が、母の請求に基づいて、協議に代わる審判をすることができる」としていた。

この件に生を受けた瞬間から審判になる可能性もある。仮に妊娠初期でどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招く可能性もある。

合法的な選択的夫婦別姓を導入するなら、最も合理的

弁護士の北村陽男氏は「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる。裁判所が姓を決めることができれば、調停委員の面前での口頭の方がまだ合理性がある」と指摘する。

夫婦を同姓とする現行の法規定が矛盾かどうか争われた経緯で、最高裁判所は平成27年、「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」と判断した。

最近の見解では、家族は社会の自然から基礎的な集合単位とされ、その呼称を一つにするのは合理的だ」とされている。これに対して、国連人権理事会は、DNA分析による家族の在り方や国民意識の多様化が進み、選択的夫婦別姓の制度導入を求めた。だからこそ、日本における改正は人権保護の観点からも重要とされる。

同一姓に2つの姓が混在する状況は、固有名詞の名実両方が失われることになる。国連大学の百地原彰教授は「隻腕すぎて不平等な状態が続く家族の契約」について警鐘を鳴らしている。

この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入による人材確保の向上など27年以上の状況を踏まえた上で「決断を変更すべきものでない」と結論づけている。

新たな人材獲得競争

この間も、公共資産などを含む旧姓使用の選択肢は増え、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の動向では、より一層「改姓の喪失感」「精神的な負担」が強調されるようになった。

昨年3月に提起された状況では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、辞めるかの「過酷な二者択一」を迫ることを指摘。「家族のあり方や国民意識の多様化」が進み、別姓を認めないことの合理性はなくなってきている。

もはや個々のアイデンティティーは大切であり、子供にしてみれば「強制的親子別姓」となり、共同のファミリーネームがなくなれば家族としての一体感が失われる。家族法に詳しい長大大学の蒲生綾子教授は「夫婦間だけではなく、子供の確率や双方の祖父母にあたる可能性もある」と懸念する。

また、同一世代に2つの姓が混在する状態は、相互への影響も懸念される。国民提唱大学の百地雅之教授は「互いのあり方や家族の人間関係が崩れる危険も孕む」と警鐘を鳴らす。