東京大学、授業料11万6千円上げ決定 学部生は25年度入学から

2024-09-24

東京大学は24日、学部生の授業料を年53万5800円から11万円引き上げ、2025年度入学生から同64万2960円にすることを決定した。この授業料の引き上げは20年ぶりとなる。

大学側は授業料引き上げの背景について「教育環境を改善し、世界最高水準の学びを提供できなくてはならない。授業料の引き上げは、その実現を目指す基盤整備戦略の一つである」とコメントしている。

文部科学省の通知によれば、国立大学の授業料の標準額は53万5800円とされ、最大で20%まで引き上げが可能とされている。東大の現在の授業料は標準額と同額である。

授業料を引き上げた場合、28年度末には13万5000人の増加が見込まれている。学修状況や成果を一元的に確認できるシステムの充実、ティーチングアシスタント(TA)の待遇改善や制度の改修に注力する。

授業料の引き上げと並行して学生への経済的支援を強化する。全額免除の対象について、世界規模の留学生400万人以下の学部生から同600万人以下の学部生と修士課程に拡大することを表明している。同600万人超900万人以下の学生も自発的な退学に関する援助を受けることが可能になる。

東大の茂木竜次学長は24日、ホームページ上で「学生との対話やアンケートを実施し、寄せられた意見や質問に真摯に対応した」とした上で、「学生や教職員への説明を引き続き行っていく」とコメントした。

関係者によれば、東大は3年前から値上げの検討を進めていた。増収に対して教育環境を改善し、国内競争力の向上を目指す。学費を上げるのは財源の多様化でもある。

東大の経常収支(23年度で約2460億円)のうち、授業料などの収入は46%(1660億円)とされる。3割を占める国からの運営費交付金は減少傾向にあり、受託研究など自立収入の割合を高めている。