健康

東京大学、肥大型心筋症の重症化に関わる遺伝的リスク因子を同定——多様性に富む病態形成のメカニズム解明にネットワーク的遺伝子解析が有用——

2024-09-26

東京大学大学院医学系研究科の榎本裕一特任教授、同研究科循環器医学講座の鈴木亮特任助教、小室一成特任講師、同大学先端科学技術研究センターの武田達也助教らによる研究グループは、国内多施設での肥大型心筋症患者の遺伝子解析を行い、重症化に関する新たなリスク因子を特定しました。この研究は、肥大型心筋症の病態における遺伝的要因を解明する重要な一歩となり、その結果は心血管疾患の予防と治療に寄与することが期待されています。

研究チームは、全国の多くの医療機関から集めた肥大型心筋症患者のサンプルを分析し、相関する遺伝子の変異を特定しました。これらの変異は、心筋の構造や機能に影響を及ぼすことが分かり、個々の患者の病態に大きな違いを生じさせる要因となることが示されました。その結果、特定の遺伝子変異の有無によって、患者の予後や治療反応が変化する可能性があることが確認されました。

さらに、この研究は将来的なパーソナライズドメディスンの実現にも寄与するとのことです。具体的には、患者一人一人の遺伝的背景に基づいた治療法の選択が可能となり、より効果的な治療戦略を立てる手助けになるでしょう。

今回の成果は、肥大型心筋症の理解を深め、患者の生活の質の向上につながる重要な情報を提供するものです。今後もこの分野での研究が進むことで、新たな治療法の開発が期待されています。