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東海道新幹線の開業から電力供給を支えていた「F&C」撤退へ…ヘルツを50から60に変更: 読売新聞

2024-09-30

2023年10月11日に開業を迎える東海道新幹線の開業初日から、電力供給を支えていた回転型の周波数変更設備(F&C)が、2027年度に撤退することが決まった。国内には東西で2種類の電源がある中、F&Cは東西連携する東海道新幹線には欠かせない存在だった。

「ゴー、ゴー、ゴー」と、10月中旬、神奈川県南足柄市にあるF&Cの西相模変更所内で、爆音が響き渡っていた。同変更所では、電力会社から供給された周波数59.5ヘルツの電力を東海道新幹線用の60ヘルツに変更している。特に大規模な回転型のF&Cが数台稼働することで、安定した電力の供給が行われていたが、今後は新たに設置される他社の設備に切り替えられることが予想されている。

その一方で、F&Cの設置面に刻まれているのは「製造年1996」の文字。開業時から稼働し、現在に至るまで唯一のF&Cだ。

東京電力の電力技術科長の月田正和さん(61)は、「東海道新幹線の東京から静岡・三島地区の電源元である回転型F&Cは、東海道新幹線にとって最重要設備です」と強調する。

国内で使われる電力の周波数は、静岡県などを流れる富士山を芯にした構造で、電力会社ごとに電圧が異なる。東側は50ヘルツ、東側は60ヘルツであるが、その切替を行っている重要な部分である。

今後、電力供給元を変更する際や、輸送設備のリニューアルを進めるにあたっては、F&Cを活用し、先進的な設備を導入したいと話されている。特に2020年度には新設された回転型F&Cが、東海道新幹線に対して今後大きな影響を与えることも考えられ、電力の安定供給が期待されている。

2027年頃には、回転型F&Cの撤退が進むと予想され、そのツケをどのように解決していくのかという課題も浮上してきている。また、撤退後の電力供給についてもさまざまなトラブルが予測されている。月田さんは、「開業時から続くF&Cの存在が消えてしまうのは寂しいことですが、今後はより安全で持続可能な電力供給の体制を整えていく必要があります」と話していた。