健康

定期接種開始「帯状疱疹ワクチン」に期待される一部「認知症」への予防効果:上昌広

2025-01-12

著者: 芽依

来年度から高齢者などを対象に定期接種が始まる帯状疱疹ワクチンは、認知症や脳梗塞、心筋梗塞など慢性疾患が発症に関わる病気についても予防効果があるかもしれない。最新の研究で示唆された、そのメカニズムと可能性。

厚生労働省は来年度から、65歳以上の高齢者を対象に帯状疱疹ワクチンの接種を始めると発表した。現在は、50歳以上やがん患者など高リスクの人に接種が行われている。この定期接種が始まることにより、多くの人々が帯状疱疹を予防し、関連する認知症のリスクを低減できる可能性がある。

帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster virus, VZV)によって引き起こされるもので、一般的には感染症として知られています。しかし、近年の研究では、帯状疱疹が認知症や他の慢性疾患のリスク因子であることがわかりました。感染後、体内の炎症を引き起こし、脳に影響を与えることから、認知症と関連しているとされています。

特に高齢者においては、帯状疱疹に罹患することで、認知機能が低下するリスクが高まるとの研究結果がある。さらに、帯状疱疹の再発に伴う持続的な痛みや不快感が、高齢者の生活の質にも影響を及ぼすため、ワクチン接種は特に重要です。

一部の研究によると、帯状疱疹ワクチン接種がこれらの慢性疾患に対する予防効果を持つ可能性があることが報告されています。注目すべきは、接種した高齢者の中で、認知症の発症率が低下した事例があるという点です。このことが、今後の高齢者医療において新たなアプローチを提供するかもしれません。

「お巌さん」も帯状疱疹?

現在も、帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)について、各種の研究が進められています。感染時には、最初は水痘として発症し、その後潜伏し、免疫力が低下したときに帯状疱疹として再発します。接触感染や空気感染により広がることも特徴です。

症状は、皮膚の左右どちらかに発生した水ぶくれと、それに伴う痛み、灼熱感が典型的です。初発症状が現れた後、赤い斑点や湿疹、その後、水疱が現れます。強い痛みや不快感が続くこともあり、これは後遺症として神経痛(帯状疱疹後神経痛)を引き起こすこともあります。

また、帯状疱疹の症状が出現するには、いくつかの要因が関与しています。ストレスや免疫力の低下、慢性疾患の悪化などがそれです。したがって、高齢者における帯状疱疹ワクチンの接種は、健康維持と病気の予防に対し非常に有意義な選択となるでしょう。

最近の研究においても、帯状疱疹ワクチン接種が、50歳以上の高齢者における接種後の帯状疱疹の発症率を大幅に低下させることが確認されています。また、早期に接種を受けることで、長期的な健康に大きな影響を与える可能性があることが示されています。

最終的に、今後の研究成果により、帯状疱疹ワクチンが認知症予防にどれだけ寄与するかが明らかになることが期待されています。高齢者の健康維持のため、早期のワクチン接種がより求められるようになってきました。接種後の生活の質向上や慢性疾患発症のリスク低減に向けて、今後の動向に注目しましょう。