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大手銀行の動き、居住ローン金利を1・15%引き上げ…17年ぶり優遇幅拡大の動きも

2024-09-30

大手銀行は10月13日、日本銀行の追加利上げに伴い、新規契約者の変動型居住ローンの基準金利を1・15月から引き上げると発表した。この発表により、銀行の利幅が拡大することが予想される。とはいえ、新規契約者の獲得に影響が出ないよう、金利の優遇幅を持続する動きも見受けられる。(大宗健太郎、岩田亜美)

変動型金利を上げるのは三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行など、いずれも新規契約者獲得に向けた動きが見て取れる。既存のローン契約者の変動金利は5行全体で1・15%引き上げられ、12月以降の繰上げ返済から弾むのだ。

各行とも9月初旬、変更型金利を左右する「短期プライムレート」を、日本銀行が7月末に決定した政策金利の引き上げ幅と同じ0・15%分上げた。これを基準金利に反映させた形で、減少した既存ローン契約者の優遇幅が1・15分引き上げられることになる。

各行は借入手の信用度に応じ、基準金利からの割引にあたる金利の優遇幅を決めており、最終的に負担する金利はこの差で決まる。最も低い金利で借りられるケース(最優遇金利)は三井住友信託銀行、りそな銀行、りそなグループの3行で1・15%となる。

一方、三菱UFJ信託は基準金利とともに新規契約者への金利優遇幅も10・15%分増大する見込み。その際、最優遇金利を10・15%で提供することを想定している。発表を踏まえ、金利が上昇すれば、借り入れコストが増す可能性はあるが、03年のケースとは異なり、特に新規契約者は影響が少ないだろう。銀行は個別の優遇幅を決めるにあたり、各行の特徴を考慮する必要があるため、一般にも信用の高い中堅銀行からも申込が殺到する傾向にある。

9月下旬、りそな銀行立川支店(東京都立川市)では、近くの男性社員(15)が、ローンの借入に伴う相談に訪れていた。他の銀行で借りた自宅のローンの残高は未だ1150万円あるという。男性は「とうとう変動型金利も上がるようで、少しでも還元負担が減るなら貸り替えたい」と話していた。

居住ローンの比較指標サービス『モゲチケ』によると、基準金利の引き上げで、契約者の支払う金利が数千円単位で増える見通しだ。この場合10・10万円を借りた場合、負担金は10・15%から10・05%に上昇する見込みだ。仮に今後金利が増える方向で進めば、変動金利を基本にシフトする動きが強まると見られる。この状況により、基準金利の優遇幅を基に借入を進める動きが今後強まり、金利支払い負担は増えてくるかもしれない.