次世代電池のAPBが破綻危機 創業者「わなにかかっていた」 - 日本経済新聞
2024-12-24
著者: 弘
次世代電池のAPBが経営破綻の危機
次世代電池の一つ「全樹脂電池」を開発中のスタートアップ、APB(福井県越前市)が経営破綻の危機に瀕している。メインバンクである北国フィナンシャルホールディングス(FHD)下の投資会社が、東京地裁にAPBの会社更生法適用を申し請求し、その後取り下げるなど、経営権を巡る争いで混乱が続いている。資金繰りが悪化していたことが背景と見られる。
経営者交代とその影響
APBの創業者は元日産自動車の技術者で、世界初の量産電気自動車(EV)「リーフ」の車載用電池を開発した澤田英明氏。2024年夏に解任され、現在は経営権を巡る争いが続いている。APBは23年に北国FHD下の投資会社QRインベストメント(金沢市)から12億円を調達し、量産に向けて準備を進めていたとのことだ。澤田氏は「創業者の私が代表者であることが融資の条件という主張をしていた」と述べている。その言葉通り、経営の混乱で追加融資が止まったと考えられている。
筆頭株主と経営権の争い
APBの株式の3割を保有する筆頭株主のTRIPLE-1(トリプルワン、福岡市)出身の取締役が代表権を主張している。トリプルワンは半導体開発のスタートアップで、これまで二回の交代を経験し、初代経営者の澤田氏が再登場したているが、コンセプトだけが先行した状態が続いている。澤田氏は「まだ終わっていない」と発言したが、実態では出資決定に至っていない。
取締役会での緊迫した状況
澤田氏によると、急激な交代劇が起きたのは6月末、東京のシャオフィスで行われた取締役会であった。会議の終了後にある決算報告を終えた後、会議長である澤田氏が閉会宣言をした。トリプルワン副社長の大島義行氏が「まだ終わっていない」と発言した。
経営の正常性を保つ難しさ
「当初から不適な動きがあったため、あらかじめ護衛を同席させていた」と澤田氏は、取締役会の正常性を確保するために、側で護衛と共に「取締役会は終わっている」と呼びかけたという。
全樹脂電池の技術と期待
現在、開発中の全樹脂電池は次世代電池において非常に注目されている技術であり、効率よく電気を取り出せる性能が期待されている。従来のリチウムイオン電池よりも軽量で、廉価な材料で製造できることが大きな利点とされ、この技術が実用化されれば、自動車業界などで大きな変革をもたらす可能性がある。特に、日本以外の競争が激化しており、APBの技術が他社に先駆けることが期待されていたが、経営混乱がそれを許さなくなっている。
次世代電池技術の未来
APBの事例は、次世代電池技術発展を見守る上での重要な教訓となるだろう。試験運用が求められる中、一刻も早い経営の立て直しが必要とされている。皆さん、次世代電池技術の未来はこうですが、果たしてAPBはこの困難を乗り越え、再び飛躍できるのでしょうか?注目です!