肥満に関する「社会運動」と「究極な主張」

近年、「体のサイズ、形、肌の色、ジェンダー、身体能力に関係なく、全ての体に対して前向きな見方をする」といった社会運動「ボディ・ポジティブ」が広まっています。

また、「肥満への社会的偏見の解消」を目指す社会運動「ファット・アクセプタンス運動」も活発化しています。

人々を悩ませる偏見や差別は無くすべきことですが、そうした活動や考えは、SNSやメディアを通じて、本来の考えや目的から逸れ、過激になりつつあります。

例えば、スリムなモデルだけではなく、肥満のモデルがファッション誌に登場することが増え、肥満であることを誇示し、ファッション・アクセプタンス運動を積極的に支持する「肥満系インフルエンサー」に注目が集まっています。

そして、そのようなインフルエンサーの中には、「肥満でも健康でいられる」と主張する人もいます。

しかし実際、そうした主張をする肥満系インフルエンサーの中には、糖尿病や心臓病が原因で次々と命を落としている事例が増えているのです。

何が問題なのかと言えば、これらの主張はただ単に「美しさは多様である」という表現を超え、肥満を良しとする風潮を助長させている点です。過度な肥満は確かに健康に悪影響を及ぼすことが科学的にも証明されています。

データによると、特に近年は、肥満が直接的な原因で命を奪われている人々が増加傾向にあり、彼らは「時間がない」「運動不足」「食生活の乱れ」などの要因によって早死にすることが多いと言われています。さらに、肥満が進行することで、抗生物質の効き目が薄れることや、通常の医療行為への反応が悪化することも確認されています。

これらの現実が現れる中で、社会はどのように肥満への見方を見直すべきなのでしょうか。すでに、様々な国で人々の肥満化を防ぐための施策が導入され、例えば、「砂糖税（またはソーダ税）」が導入されている国もあります。この税制は、清涼飲料水などに対して課せられ、その売上の一部を健康支援のために活用することを目的としています。

このような施策は、根本的に肥満の原因を見据え、「健康的な食生活の選択肢を増やす」ことに繋がっています。にも関わらず、多くの人々は「肥満税」が「肥満を悪者にする」と感じ、不快感を抱く場合もあります。

このような状況において、社会が肥満をどう捉えていくか、その流れに注目が集まっています。果たして、この現象は健康への悪影響から人々を守る策なのか、それとも逆に肥満の人々を追い詰める結果となるのか、今後の動向が注目されます。