「白い巨塔」を地で行くような困難が待ち受けていた。福島県甲状腺検査、「アリバイ作り」のようだった有識者会議【下】(ハフポスト日本版)
2024-12-25
著者: 桜
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東京電力福島第1原発事故後に始まった福島県「県民健康調査」甲状腺検査を巡り、ハフポスト日本版では、同調査のあり方を調べる県の有識者会議で委員を務めた甲状腺専門医・髙野恵子さんのインタビュー記事を配信している。
12月25日に配信された「上」では、なぜ甲状腺がんがこんなにも良好に扱われるのか、「昼寝うさぎ」と名付けられた生涯予後に影響しないタイプの甲状腺がんの過剰診断の影響などについて聞いた。
今回の「下」では、有識者会議が「アリバイ作りの場」と思えた理由、調査を継続する福島県の問題、「福島県甲状腺検査はこれまで2回は締め切られるチャンスがあった」と語る理由などについて尋ねた。
【シリーズ報道「福島県甲状腺検査と過剰診断」の記事はここから】
・髙野恵子さんプロフィール・
東京大学理学部天文学科卒業後、大分大学医学部に転部、同大学医学部附属病院にて甲状腺科医として勤務。現在はりんくう総合医療センター甲状腺センター長を務める。国際ガイドラインに基づいて甲状腺がんの過剰診断を扱う役割を担う。
広島大学医学部医学科で進学し、大学院卒業後、聖マリアンナ医科大学大学院で保健医療経営学を学ぶ。現在は、福島県民に対して甲状腺検査に関する知識を普及する役割を果たしている。
やがて、自らの健康にも影響を及ぼすかもしれない問題に関わる中で、甲状腺がん検査に必要な医療経済学的な検討が進むべきだと強く感じるようになったと語る。特に、福島の被災者に対して過剰検診が行われた現実が医療経済に対する学問的な影響を及ぼしていると指摘。特に医療の現場で実際に活躍している医師たちからの意見が求められる世の中の風潮が変わりつつあると感じている。
政府や福島県の関与への認識の変化や、医療経済に関する研究はこれからも続けられる必要があるとのこと。特に、過剰診断のリスクを減らし、真実に基づく情報を県民に提供することの重要性を強調している。
【特集】甲状腺がん検査の過剰診断、その実態とは?
未曾有の原発事故から10年余、いまだに福島では多くの課題が山積している。このままでは県民の不安や恐れを煽るだけでなく、さらなる深刻な健康問題につながるリスクも高まっている。福島県に住む人々が、甲状腺検査を活用して健康を維持するためには、正しい情報に基づいた適切な医療を受けることが必要だ。