世界
「最古の文字」の前段階を解明か 古代の「コロボスタンプ」が手掛かりの研究者らが発表:Innovative Tech
2024-11-10
著者: 裕美
イタリアのボローニャ大学に所属する研究者らが発表した論文「Seals and signs: tracing the origins of writing in ancient South-west Asia」は、最古の文字体系に関する新たな知見を提供しています。この研究では、古代南西アジアにおける最初期の文字の起源について詳しく探求されています。
古代の文字、すなわち初期の文書体系は、紀元前3350年から3000年にかけてメソポタミアで使用されていたもので、その後の文字発展の基盤となりました。
研究チームは、古代にさかのぼる3700年前から出現した円筒印章の利用を通じて、初期文字の進化を調査しました。この円筒印章は、特定の物資の管理や取引の記録に用いられ、そのデザインには長方形の模様が多く見られ、商業的な意図が強いとされています。
注目すべきは、この円筒印章に刻まれた模様が、後の初期文字と似た形が多数存在することです。例えば、家具や食器の形状を記録するための印章の図像などがそれに該当します。
これらの結果は、初期文字が突然現れたのではなく、既存の商業や政治の実務に基づいて発展したことを示しています。研究者たちは、印章や文字が、単なる記録手段ではなく、当時の社会や経済の重要な構成要素であったことが明らかになったと強調しています。
また、今回の研究は、古代の文字がどのように人々のコミュニケーションや社会的組織を変化させたのかという観点からも重要な示唆を与えています。この発見は、今後の考古学や人類学の研究において、新たな議論を引き起こすことが期待されています。