自民党に歴史的大敗をもたらした民意を読み解く(小林良巨慶応義塾大学名誉教授)
2024-11-02
著者: 雪
自民党の自滅とその背景
結果のとおり、最初から最後まで自民党の自滅だったようだ。
今週のマル激は計量政治学が専門で毎回幅広い有権者の投票行動調査を独自に行っている小林良巨氏と、選挙後の事例として自民党の大敗と立憲民主党と国民民主党、そしてれいわ新選組の進捗が目立った前の総選挙は、国民が何を評価し何に怒った結果だったのかを読み解いた。
選挙結果と自民党の大敗
10月27日に行われた衆院選では、自民党は改選前議席259減らす大敗に終わった。同じく公明党も8議席減らしたため、連立与党は過半数を大きく割り込むことになった。2009年に自民党が181議席を減らして政権を失った時以降の、文字通りの歴史的大敗だった。
本来であれば与党が衆院で過半数を割れば政権交代が実現するはずだが、野党は議席を持っているにもかかわらず、野党勢力として1つにまとまることができていなかったため、非常に不透明な状況が続いていた。
自民党の政権維持と投票棄権
自民党は議席数が減少しても政権維持を試み、そのために与党が衆院の議席を維持し続けようとする努力が目立ってきていたが、先の選挙での自民党支持層の多くが投票を棄権したため、結果的には与党失陥を招いた。
投票行動調査の結果
小林氏が行った投票行動調査では、全国で3,315人に行った調査から、これが自民党の自滅選挙だったことが分かった。そして、投票行動の分析の結果として、前回までの選挙で自民党に入れた自民支持層の多くが投票を棄権したため、自民党の得票自体も大幅に減った。
立憲民主党と他の野党の状況
その一方で、今回新たに50議席を獲得した立憲民主党も、必ずしも得票数を増やすことがなかったと言える。立憲民主党が今回の票数を増やしたのは、前回2021年の衆院選と比べると、わずか7万票程度の増加であった。一方、大きな支持を受けたのが、与党側の強い支持だったことが分析結果によって示された。また、前回選挙と比べても現状では党内支持が氏を重視したため、赤捺紙の多くが投票を棄権したことが際立っていると指摘された。
国民民主党とれいわ新選組の躍進
特に国民主党が349万票、れいわ新選組が159万票を得たことも注目される。立憲民主党は358万票あり、さらに159万票を得た国民民主党の票数も大きく伸びるなど、選挙結果は意外にも対立を明確に示していた。
投票者数と高齢者の影響
加えて、今回の選挙結果としても投票した人数は昨年の選挙と比べて著しく少なく、平均年齢の高い支持層で高齢者の投票のみが得られる。このため、自民党が公約し得票にも影響したことが顕著だった他、実際に選挙日に至るまでに自民党に対する不安感に対処するために有効な対策を打てていないことが次第に浮かび上がった。
次回選挙に向けての課題
小林氏の調査では、こうしたことが拡張され問題になっていて、昨年までの自民党の支持者が徐々に戦略的な投票行動を行うことも示唆されていた。さらなる具体的な施策を打ち出すべきだとの実情が現れたと見られる。
自民党の支持が減少した背景には、主に国民の生活不安、及び生活施策への不満があると考えられている。このため、次回選挙の際には具体的かつ効果的な政策が必要であると考える。実際、競争率が高まることが予想される中、その政策が電子投票システムの導入や、自民党支持者の意識変革につながるかを注視したい。