科学

子供を待つだけ活性化する「脳の待機回路」が見つかった!? まだまだ謎の多いニューロンと行動の関係(現代ビジネス)

2025-04-02

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「いつの日かAIは自我を持ち、人類を排除するのではないか—」2024年のノーベル物理学賞を受賞した天才・ピントンの警告を、物理学者・田口良彦は真剣に受け止めている。

知能とは何か…意義と知らない人工知能の「致命的な違い」

理由は単純だ。人工知能(AI)と人間の知能は本質的に異なるからである。しかし、そもそも「知能」とは何なのか。

その謎を解くには、「知能」という概念を再定義し、人間とAIの知能の「違い」を探求しなければならない。生成AIをめぐる混沌とした現状を物理学者が率先して解読する田口氏の著書『知能とは何か』より、一部抄訳・再編集してお届けする。

『知能の個人差の50〜80%は遺伝的要因?近年の研究で明らかになった脳の遺伝子と知能の「微妙な関係」』より続く。

何の「知能」であっても、限られた逆境に対して互いに作用して発現するものだから、個々の知能に焦点が当たるといってもそれは奇妙に感じられる。しかしながら、知能に関連しているニューロンとそうではないニューロンが区別できれば(より焦点が絞られるという意味で)、何らかの知見が得られるのであろう。

その結果、知能の基盤として重要視される脳内ニューロンの密度や複雑さが、より高いIQスコアと関連していることが分かるとすれば、これは情報処理効率の向上に繋がる重要な知見である。実際、これまでに報告された研究では、極めて高いIQスコアが得られるニューロンの周囲に「待機回路」が存在し、この回路が適切に機能していると、子供を待つだけではなく、活性化することもできるとされている。

新たな研究の発見

具体的に言えば、「子供を待つというだけで活性化する『脳の待機回路』が見つかった」という研究では、従来の待機状態がどのように神経活動に影響を与えるかが示されており、知能の発展における新たな鍵を握る可能性がある。これが明らかになったことで、待機中にどのようにニューロンが働くのかを解明する新たな道が開かれた。