
自閉症の人は「読み方」が違う?脳の活動パターンを解明。研究
2025-03-13
著者: 陽斗
自閉症の人々の読み方の違い
自閉症の人々が言葉を読む時、どのように脳の働きが異なるのか?
効果的なアプローチ
自閉症の人が文字と音の対応を学ぶ時、どのようなアプローチが効果的なのか?
具体的なイメージと抽象的な単語の理解の違い
具体的なイメージを持つ単語と抽象的な単語では、自閉症の人々の理解にどのような違いがあるのか?
研究の結果
自閉症の人たちは、単語を読むときに、脳の働きが自閉症でない人とは異なることが、アメリカのロッガース大学の心理学部の研究者らの最新の研究で明らかになりました。
自閉症スペクトラムの人々の中には、文字を見てそれを正確に発音する能力(いわゆる文字の解読能力)に優れた人もいますが、その一方で文全体の意味を解釈する読解力が乏しい人もいるのが実情です。
この研究では、自閉症のある成人19人と自閉症でない成人21人の計40人を対象に、脳の活動を測定するMRI(磁気共鳴画像法)を使用しました。対象者には「疑似語」(意味がなく、発音だけの言葉)を声に出して読んでもらうという課題が与えられ、脳のつながりや活動パターンが詳細に調査されました。
参加者には「リンゴ」や「犬」など、具体的な意味を持つ単語と「音」だけの疑似語が読み込まれ、その際の脳の活動が観察されました。この結果、自閉症の人々は抽象的かつ意味がない語を使用する際に、自らの脳内の結びつきを特定の特殊な領域に絞り込む傾向が見られました。
また、特に自閉症の人の中には言語が持つ意味を理解するためには文脈や背景を把握するのが難しい人が多いということも研究結果としてあげられています。これに対して、自閉症でない参加者は、より広範な文脈の中での意味把握を行うことができていました。
「読まれた言葉を理解することは重要ですが、その意味を完全に解釈することは時に特に難しい」と研究者は言います。
今後の展望
この特性を理解するために、研究チームは自閉症のある人が参加する際には、文脈を意識した指導が重要であることを示唆しています。今後、さらに具体的な指導法やコミュニケーション方法が開発されることで、自閉症の人々がよりスムーズに言語を学べる環境が整うことが期待されています。
研究は今後も進められ、新しいアプローチが提案される可能性が高いです。自閉症の理解が深まることで、社会全体がその特性を受け入れ、支援できる環境が築かれることが望まれます。