健康

専門医と最新AIの診断精度に有意差なし、皮膚科領域で

2025-01-18

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AI時代における皮膚科診断

近年、人工知能(AI)の著しい進歩により、医療の様々な領域でAIを活用する取り組みが加速しています。特に皮膚科領域では、肉眼やダーモスコピーによる画像診断が重要な位置を占めるため、AIの画像解析能力との親和性が高いとされています。ここで注目されるのは、悪性黒色腫や基底細胞癌といった悪性腫瘍の早期発見・早期治療におけるAIの活用可能性です。

この1月、私たちのチームは近隣の大医学部皮膚科の研究チームで、最新のAIモデルを用いて、皮膚科における診断精度を専門医と比較した研究成果を報告しました。使用したAIモデルはChatGPT-4o、Claude 3.5 Sonnet、Gemini 1.5 Proの3種類です。これらはいずれも最新の大規模言語モデルですが、異なるアプローチで高い演算能力を持っています。私たちの調査では、これら3つのAIモデルの診断精度は皮膚科専門医とほぼ同等であり、とりわけClaude 3.5 Sonnetが高い正診率を示しました。

この結果は、AIが皮膚科診断の有力な補助ツールとして機能する可能性を示唆しています。特に、皮膚科のように多様な疾患が存在する分野において、AIの活用により、診断の効率化や患者の早期治療が期待されます。ただし、AIによる診断が全てを解決するわけではなく、実際の診療現場では、患者の症状や病歴を考慮しなければならないため、依然として専門医の役割が重要です。

さらに、今回の研究は、日本皮膚科学会などで行われた症例をもとに進めており、例えば日本国内での皮膚疾患の務めや、AIによる診断の科学的根拠をしっかりと構築するためのデータが必要です。今後、AIが皮膚科診断においてより一層浸透するためには、専門医との共同研究が不可欠です。両者の強みを活かし合うことで、より質の高い医療の提供が実現する可能性があります。

今後の展望と診療への活用可能性

AIは、基盤となるデータ量や質が大きく影響するため、大規模な診療データセットを用いて、AIをより効率的にうまく活用することが求められます。具体的には、皮膚科の病変の特徴をAIが学習し、常に最新の医療知識を反映させながら、柔軟に新たな疾患についても対応できる体制を整える必要があります。これにより、患者ごとのリスクを正確に評価し、最適な治療法を提案することが可能になります。また、地域医療における診断支援ツールとしても、AIは大いに貢献することでしょう。これからの医療におけるAIの役割はますます重要性が増すと考えられます。