月から金属資源を採掘する時代が来るのか?未来のエネルギーと資源供給を担う月探査計画の実現可能性
2024-11-06
著者: 海斗
月における資源採掘の可能性について、最近の研究が注目されています。
スウェーデンのアップサラ大学の研究チームは、月での資源採掘に関する数学モデルを用いてシナリオを描き、その結果を文献として公表しました。
月の利用とその資源の需要は、特に最近50年間で大きく変化してきました。月が発見されたのは18世紀末ですが、1940年代からの科学者たちによる技術の進展が、月の資源を実用に供する基盤を築いてきました。月の資源として最も期待されているのは、鉄とチタンを含む鉱物資源です。特に、チタンの利用は航空宇宙、エネルギー、医療など多岐にわたります。
チタン資源は現在の需要を超える量が埋蔵されており、さまざまな国でエネルギー資源の供給が求められているのです。特に2021年のReportが明らかにしたように、リチウムやニッケルといった金属資源の需要は著しく増加しており、全世界で50%以上の増加が予測されています。月からの資源採掘は、これまでの地球資源の枯渇を緩和する手段となるかもしれません。
また、月での資源採掘は、1960年代から始まった月面探査の延長線上であり、NASAのアポロ計画でも月面の岩石が採取され、その結果としてチタン鉱石が確認されています。1972年のアポロ17号では、高濃度のチタンを含む試料が帰還し、月の価値を改めて浮き彫りにしました。このような背景からも、月の資源採掘は急速に進展しています。
地球の資源供給の逼迫とともに、月での資源の発展が期待される中、EUは2024年に重金属資源法を施行し、月の採掘を加速する計画を立てています。しかし、環境問題への配慮が必要であり、持続可能な方法で資源を開発していくことが求められています。
最近の研究は、月面の「静かなる海」(Mare Tranquillitatis)を採掘場とすることを想定しています。ここでは、未利用の鉱物資源が約10%存在することが確認されており、それが新たな採掘ターゲットとなり得ると考えられています。
宇宙での採掘は新たなフロンティアであり、国際的な協力や技術革新が鍵を握ります。地球上の資源を効果的に使いながら、月の資源を持続可能な形で採掘する未来が実現することを期待しています。
しかし、実際に月から資源を採掘するためには、数百の大型掘削設備や大型ダンプトラックが必須であり、電力供給のためには最低でも11メガワットの電力が必要とされています。このような大規模なプロジェクトが実現することは可能なのでしょうか?
各国の宇宙機関や民間企業が協力して、月の資源開発に取り組む姿勢が求められます。月からの資源採掘が実現することで、エネルギー資源の供給が安定し、より持続可能な社会の実現に寄与することができるかもしれません。