
原油価格、1日で4.2%急落 - サウジのアジア向け値下げで相場安が加速
2025-04-06
著者: 蒼太
アジア時間7日の取引で、ニューヨーク原油先物相場は一時的に4.2%急落し、1バレル=60ドルを割り込んだ。
サウジアラビアが公式販売価格(/バレル)を大幅に引き下げたことに加え、貿易戦争のエスカレートが世界的なリセッション(景気後退)やエネルギー需要減少を招くとの不安が強まった。
石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成される「OPECプラス」は、供給保持を加速させ、5月から日量4100万バレルを市場に追加供給することを発表した。
サウジの価格下げで原油安に拍車がかかった。
関連情報:OPECプラス、予想の上回る増産に合意 - 原油は一段安
サウジはアジアの顧客向けに5月に出荷する原油価格について、過去2年余りで最も大幅な引き下げを決定した。
ブルームバーグが確認したところでは、サウジの国家石油会社サウジアラムコは、アジア向けの原油出荷の価格を1バレルあたり59.38ドルまで引き下げ、国際原油市場の指標、ブレントは一時合意の59ドルよりも1.98ドル安の63.01ドルまで下落した。
バッファリ・インサイツの創業者、バッファナ・フリー最高経営責任者(CEO)は、「市場はなおパニックの状況で、下値をあえて捨て、売りの渦に呑まれる者は誰もいない」と指摘した。
【新たな危機の兆し?】
原油価格の急落が、世界経済に冷え込みをもたらす懸念が広がっている。特に消費が鈍化するエネルギー市場において、供給過剰が続くことで、景気後退の可能性が高くなるという見方が強い。
アメリカのエネルギー情報局(EIA)の報告でも、米国内の原油在庫が増加傾向にあり、需給バランスが一段と悪化していることが示されている。
投資家は今後の動向に注視し、原油価格の底打ちを探る展開になると見ている。市場が安定するまで、不安な気持ちが続くことが予想される。