科学

宇宙の上にはゴミだらけ。毎日増え続けるスペースデブリ

2025-04-03

著者: 裕美

スペースデブリという言葉に聞き覚えのある方も多いでしょうが、要は宇宙ゴミのことです。私たちの地球だけでなく宇宙空間にまでゴミを持ち込んでいるようです。

地球の周回軌道上はゴミだらけ

いまだ我々がこうして使っているインターネットも、宇宙の周りを飛んでいる人工衛星のおかげです。しかし、その一方で機能停止した衛星やロケットの残骸が宇宙ゴミ(スペースデブリ)として増加しているという問題があります。

2025年1月4日、ESAが「宇宙環境レポート2025年」を発表しました。この報告では、デブリが増加していることが指摘されています。

現在、地球の周回軌道上には多数の人工衛星やロケットの破片が高速で飛び交っています。大きさが1cmを超えるものが120万個以上、さらには10cm以上のものは5万個以上存在するとされています。

こちらの図は、地球の周回軌道で観測されているデブリの数と種類を表したもので、2014年から現在にかけての正体不明のデブリの数が増えてきています。

軌道上に増えたデブリは、今後の有人宇宙活動に影響を与えたり、地上に落下して死亡者を出す恐れがあるなどの懸念があり、2024年には米フロリダ州の住宅の屋根をデブリが直撃するという事例が報告されました。これは、国家宇宙ステーションから放出されたデブリだと考えられています。

デブリ同士の衝突でゴミはさらに増加

宇宙ゴミが自然に大気に戻る現象が続いていますが、問題は再突入で処理されることなくデブリが増加していることです。その原因となるのが「キャスケード効果」と呼ばれる現象です。

追加の打ち上げがなくても、デブリ同士が衝突することで大量の破片が生じ、ゴミが連鎖的に増えていくということです。この衝突によって増えた破片が更に別のデブリと衝突する事例が後を絶たず、宇宙はますます危険な空間と化しています。

ESAは「宇宙の持続可能性」を守るために、デブリの発生防止と徹底的な除去の必要性を強調しています。無限の存在である宇宙に向かって「持続可能性を守る」ためには、まずこの宇宙ゴミを何とかしなければなりません。