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【ユーロ事情】国債、株ともに下落 - パウエル氏発言で利下げ見通し後退
2024-11-15
著者: 健二
ユーロ圏の金利動向
来週、欧州中央銀行(ECB)の政策当局者らの講演を前に、短期金利市場で予測される今後のECBの利下げ幅が15日までに縮小した。この背景には大半のユーロ圏国債が下落し、特に短期債が落ち込んだことがある。
ECBの利下げ予測
短期金利市場が織り込んだ12月のECBの利下げ幅は30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)である。来年はそれよりも大きな利下げ幅が予想され、最終的には143bpに達すると見込まれている。
イギリス債の動向
イギリス債のイールドカーブは米国債と連動してスティープ化し、トレーダーが予測する来年前半のインフレの抑制効果に期待が寄せられている。
株式市場の影響
ユーロ圏では販売が先行し、ストックスユーロ600指数は0.8%下落した。パウエル氏が利下げに慎重な発言をしたことを受け、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げに対する期待感が後退した。また、12月の米国連邦公開市場委員会での利下げに対する市場の期待が後退したことも影響している。
産業別の動向
産業別ではメディア、ヘルスケア、テクノロジー株の下落が目立ち、一方でアルミニウム価格の上昇により金属関連株が堅調だった。中国が500万トン以上の輸出アルミニウムを対象とする税還付の廃止を発表したため、金属市場にも影響を与えた。
トランプ氏の影響
トランプ次期米大統領がワクチンへの疑念を表明したことが影響し、関連セクターに名を連ねた企業の株価が下落した。