ユーロが対ドルで再び下落している理由とは - QuickTake
2025-01-07
著者: 花
1999年にユーロが誕生して以来、対ドルでの下落は数回目だ。最近の下落は2022年のことだ。ロシアのウクライナ全面侵攻による欧州エネルギー危機で景気後退懸念が高まり、ユーロ=1ドルまで下落した。足元で市場関係者は再び同様の事態が起こる可能性があると見ている。
なぜユーロは下落しているのか
欧州は、トランプ次期米大統領がもたらした関税引き上げの影響を最も受けている地域の一つだ。自動車から化学製品、高級ブランドに至るまで、米国への輸出品の影響を直接受けるためだ。また、景気後退懸念により、ユーロ圏は他の先進国に比べて低い成長率を記録している。この結果、ユーロ圏の成長が鈍化し、景気刺激の必要性が高まっている。 ユーロ圏の成長は低迷し、金利は他の先進国に比べ低い。
これに加え、経済の低迷は、ユーロ圏の外貨準備の増加と物価上昇に伴う不透明感も増している。特に、ドイツへの投資リスクは高まっており、成長を促す構造的な問題を政府が解決するのが難しい状況だ。
ユーロはドル全面高とも関連する。トランプ次期大統領の政策が米国の経済成長を促進し、米ドルの価値を高めることから、ユーロに対する米ドルの強さが際立っている。このため、ユーロの対ドルレートは下方向に傾いている。
ユーロ安は大きな影響を与える
投資家は、ユーロ安が輸入品の価格を押し上げ、消費者物価を上昇させることを心配している。これは特にエネルギー価格の高騰を引き起こし、生活費に対する影響が避けられない。欧州中央銀行(ECB)はこの状況を懸念しており、今年のインフレ率は上昇する見込みだが、景気への悪影響を緩和するための政策を慎重に検討しなければならない。
なぜ重要なのか
ユーロ圏は、投資家や政策立案者にとって心理的に重要な指標であり、ドルとの相関関係が強い。10%のユーロ安が輸出企業や生活費に大きな影響を与える可能性があるため、経済全体に対する懸念が深まっている。 政府は、輸出業者への支援策や、国内需要を喚起するための刺激策が急務であると考えている。しかし、依然として不透明な要素が多く、安定した成長に向けた見通しが厳しい状況が続く。今後の政策の行方に注目が集まる。