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医薬品にもトランプ関税、WTO協定が守っていた「聖域」に踏み込む

2025-04-01

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製薬業界は過去30年余りわたって、世界貿易機関(WTO)の協定で関税から守られていた。生命維持に不可欠な医薬品へのアクセス改善として、聖域とされていた。

しかし、トランプ政権は製薬業界に対する関税を、新たな関税政策によって見直す準備を進めている。トランプ大統領は8月28日、医薬品の関税を「近く」発表すると発言した。それによってどのような関税が適用されるのか、どの製品に適応されるのかはまだ詳細には明らかにされていない。

その中で、中国やカナダ、メキシコからの製品に既に適用されている関税が、医薬品にも及ぶことが懸念されている。特に製薬業界にとっての主要な市場である米国において、関税は様々なコストを押し上げる要因となり、最終的には患者の医療費に影響を及ぼす可能性が高い。

トランプ大統領は26日に、医薬品の関税について発言し、「アイルランドは非常に昨今ベースの良い関係があるが、それだけでは不十分だ」と語り、関税強化の理由をあらわにした。

製薬業界は特に不安を募らせている。米国の医薬品製造における競争力低下の可能性が、高まっている。製薬業界が抱えるこれらの懸念は、原材料の輸入に依存することから、価格の不透明感や供給不足のリスクを拡大させている。

新たな関税政策により、製薬業界の利益が確保できるかどうかは分からないが、患者への医療供給がさらに難しくなるとの懸念が広がっている。医薬品製造業者にとって、米国市場での競争力を維持するためには、コスト管理や輸入元の多様化が必要とされている。

この背景には、中国の製薬業界が急成長しており、米国向け市場に新たな挑戦を仕掛け続けていることもある。製薬業界内部で生じるこれらの議論は、国際市場における競争環境を変化させ、経済全体に影響を与える可能性がある。

今後、この問題は製薬業界全体にとって注目すべきテーマとなるだろう。医療分野における費用上昇は、特に患者にとって深刻な影響を及ぼすことになりかねないため、各業界関係者の動向から目が離せない。