幸福感が高い人は脳卒中や心筋梗塞になりにくいというのは本当?
2024-10-27
著者: 葵
幸福感が高い人は、脳卒中や心筋梗塞のリスクが低いことが示唆されています。中国科学院大学のWen Sun氏の研究によると、詳細は「Journal of the American Heart Association」に9月18日付で発表されました。
Sun氏は、「われわれの研究結果は、人々の精神的な健康を高めることが、心筋や脳の病気の予防にとって重要な要素であることを示しています。また、健康管理への総合的なアプローチの重要性を支持するものです」と述べています。
研究は、イギリスの一般住民を対象にした大規模な疫学研究「UK Biobank」の参加者117,317人(平均年齢56.56±8.15歳、男性45.03%)のデータを用いて行われました。参加者の幸福感は、UK Biobank研究登録時に行われた調査票の回答を基に評価されました。具体的には、家族、友人関係、健康、仕事、余暇活動など、生活満足度や幸福感に関連する様々な要素に関する質問に回答してもらいました。
研究期間中、脳卒中5,990件、慢性動脈疾病9,177件、心筋梗塞6,462件、心不全3,323件が発生しました。結果に影響を及ぼす因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒習慣、民族、既往症、血圧・血糖管理のための薬剤など)を調整した後、幸福感のスコアが高い人は、脳卒中(ハザード比0.89)、慢性動脈疾病(ハザード比0.90)、心筋梗塞(ハザード比0.83)、心不全(ハザード比0.90)のリスクが有意に低くなることが示されました。
さらに、幸福感のスコアに基づいて4つの群に分けた結果、高い幸福感を持つグループは、それぞれ脳卒中は45%、慢性動脈疾病は44%、心筋梗塞は56%、心不全は51%と、リスクが低いことが分かりました。このことは、幸福感が高い人々がより健康的なライフスタイルを維持している可能性があることを示唆します。Sun氏は、「これらの結果は、感情や心理的な健康が身体的な健康に与える影響の強さを示しています。心の健康が体の健康にも関与していることが明らかです」と述べています。
本研究に関連して、米国心臓協会(AHA)のGlenn Levine氏は、「報告された研究結果は、精神的な健康と心血管のリスクとの関連を具体的に示しています。精神的な健康についてこれまでの当たり前なことから、うつ病やストレスといったネガティブな事例に焦点を当ててきましたが、幸福感というポジティブな側面も見逃せない要素です」とコメントしています。