新型コロナウイルスとインフルエンザ 脳への影響が大きいのは、どっち?
2024-09-30
著者: 蒼太
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)よりもインフルエンザの方が、神経病により病院で治療を受ける可能性が高いことが新たな研究で明らかになった。この研究は、ミシガン大学のブライアン・キャラハン医師率いるチームによって行われ、結果は「Neurology」に2023年3月20日に掲載された。キャラハン医師は「われわれが予測していた通りの結果ではなかったが、COVID-19で入院しても、インフルエンザで入院した場合と比べて、一般的な神経障害に対する治療は増えないことが分かった」と述べている。
この研究では、世界的な健康に関する研究ネットワーク(TriNetX)を用いて、COVID-19に関連した入院患者とインフルエンザに関連した入院患者のその後1年間の神経学的な診断に関するデータを比較した。対象は2020年4月1日から2020年11月15日の間にCOVID-19に入院した18歳以上の患者1,072人と、2016年から2019年の間にインフルエンザで入院した18歳以上の患者718人であった。
この研究の結果、上昇した6種類の疾患に対する治療を受けたCOVID-19患者とインフルエンザ患者の割合は、片頭痛が2.0%から3.2%、てんかんが1.6%から2.1%、脳卒中が2.0%から2.4%、神経障害が1.9%から3.6%、運動障害が1.5%から2.5%、認知症が2.0%から2.3%であり、治療が必要になった患者は前者の方が後者よりも少なくなった。
年齢や性別などの影響を考慮して分析した結果、COVID-19患者で入院後に神経障害に対して治療が必要になるリスクは、インフルエンザ患者に比べて明らかに低下していることが判明した。また、キャラハン医師とアダム・デ・ヘイブノン教授は、この研究が示すように、COVID-19による後遺症(ロングCOVID)が増加していることは注意を要すると警告している。
彼らは「今日のように大流行の時代において、COVID-19が引き起こす神経系への影響は他の呼吸器系ウイルスと同様に無視できない」と指摘し、「神経疾患への治療の限界があるかもしれないが、COVID-19患者においては神経障害の治療が急になる可能性が高い」と述べた。
この研究は、COVID-19の影響を理解するための重要な手がかりを提供しており、今後の研究においても新たな展開が期待される。