
心不全治療の進展とGL推奨療法の重要性 | 最新医学ニュース | 時事メディカル
2025-03-31
著者: 裕美
スウェーデン・カロリンスカ研究所のクリスチャン・バジル博士は、スウェーデンの心不全レジストリ(SwedeHF)のデータに基づいて、「左室駆出率(LVEF)が改善した心不全(HFimpEF)患者におけるガイドラインに基づく治療(GL推奨療法)は、心血管死亡や心不全による入院リスクを低下させる」と報告しました。この研究は『Circulation』に掲載されました。
HFimpEFは、HF患者の中でもLVEFが改善した特異なサブグループであり、これに対するRCT(無作為化比較試験)は少ないのが現状です。慢性心不全の患者において、GL推奨療法は心不全の進行を遅らせ、全体的な予後を改善する重要な戦略となっています。特に、心不全患者に対する最新のガイドラインには、RAAS阻害薬やβ遮断薬の使用が推奨されていますが、HFimpEF患者に特化した研究は不足しています。
全国的な心不全症例の中で、LVEFが40%未満である患者は、RAAS阻害薬(RASi)やARNiの処方が94%であるのに対し、HFimpEF患者の治療状況は改善の余地があります。バジル博士は「HFimpEF患者におけるガイドラインに従った治療の中止率は非常に低いことが重要であり、それが患者の生存率や再入院率の向上に寄与している」という見解を示しています。
さらに、心不全の管理において心臓専門医の役割がより重要になっている中、医療費の観点からもGL推奨療法の厳守が求められています。心不全治療の方法として、GL推奨療法を適切に実施することは、医療資源の最適化にもつながると考えられています。
今後の研究には、HFimpEF患者に対する大規模なRCTの実施が期待されており、これにより心不全治療における知識の進展が加速されるでしょう。心不全治療の未来は、より強固なエビデンスに基づいたものになることが期待されます。