健康

血栓が大きく変動する高齢者は思考力や記憶力が低下しやすい?

2025-01-02

著者: 裕美

長期的にわたる血栓の変動が、高齢者の思考力や記憶力の低下につながる可能性があるという新たな研究結果が発表されました。血栓管理は心臓の健康だけでなく、脳の健康にも重要であることが示唆されています。

血栓の周期的な変動は高齢者の認知機能に悪影響を及ぼすことが分かっています。これに関する研究が、アメリカのミラシェ大学のAnisa Dhana博士を中心に行われ、「Neurology」に発表されました。Dhana博士によると、「これらの結果は、血栓の変動が高血圧自体の悪影響を超えた認知障害リスクに関与していることを示唆している」と述べています。

この研究では、白人および黒人高齢者4,770人(平均年齢71.3歳)のデータが用いられ、15年以上にわたる血栓の変動と認知能力の関連が調査されました。調査には、3年間隔で18回の血栓測定が行われ、参加者の認知機能は標準化されたテストで評価されました。

結果として、黒人高齢者の血栓の変動幅は17.7 mmHg、白人高齢者では16.0 mmHgと示されました。血栓の変動が大きいほど、認知機能の低下が大きいことが判明しました。また、年齢に伴い、低下の傾向がさらに顕著になることが明らかになり、高齢者自身が自覚する能力とも強く関連していました。

Dhana博士は、「この研究は観察研究であり、血栓と認知機能との間に直接的な因果関係があるかどうかは問いませんが、血栓のモニタリングとリスクの管理は今後の重要な課題である」と強調しています。

さらに、今後の研究で高齢者がより良い認知機能を保つための戦略を模索し、潜在的なリスクを低減させるアプローチが提案されています。特に、高血圧の管理や生活習慣の見直しが重要視されています。この研究の成果が、血栓の変動とその認知機能への影響の理解を深め、より多くの高齢者が健康的な生活を送る手助けにつながることが期待されています。