
物理学は「現実世界」を計算できなかった!? "あたらしい現象"の説明ができない物理学界に起きた"レイクリスルー"(現代ビジネス)
2025-04-07
著者: 桜
「いつの日かAIは自我を持ち、人類を排除するのではなく——」2024年のノーベル物理学賞を受賞した天才・ヒトシの警告を、物理学者・田口強は真剣に受け止める。AIと人間の知識は本質的に異なるからだ。だが、だからこそ「知識」とは何かであるかを考えるには、AIについての理解が不可欠である。
生成AIは、その複雑さを物理学者が真剣に読み解く田口氏の著書「知識とは何か」より、一部抜粋・再編集してお届けする。
「非線形非均衡多自由度系」
ここで「非線形非均衡多自由度系」という言葉の意味を今一度、説明しておこう。「非線形」という言葉は単純にいうと「1+1が2にならない世界」である。現実世界では、複数のものが組み合わさった結果、その合計以上の力が発揮されることは稀だが、ある意味、現実を想定していると考えている。
「非均衡」というのは、均衡に達した静的な状態ではないということである。例えば人口は減ったり増えたりするわけだが、これに関しては均衡に達していないからである。このように、世界には均衡に達していない事象が多く存在する。「非線形非均衡」は、現実にそうであるが、あまりに難解な現象でもある。
最後の「多自由度系」というのはたくさんの要素が連動している状態を示している。たとえば水や空気は分子や原子がたくさん連なっているので、多自由度系の代表例だ。ここまでが、ある意味、経済や社会の動向とも関係し、「非均衡」に注目する意味でもある。ただ、数学的に複雑であることの理解が難しい失敗が続いているというのも事実である。
その中で、最近注目を集めているのが「統計力学」という分野だ。特に自然界の複雑な挙動を理解するために、この統計力学を用いることが多くなっている。実際、物理学の進歩の多くはこの分野から生まれているため、今後の研究に大いに期待が寄せられる。AI技術と同様、統計力学にも大きな可能性が秘められている。
「非線形非均衡多自由度系」に関連する研究で期待される成果としては、気候変動の予測、金融市場の動向の解析、生態系の動きの理解などがある。これらの研究は、今後の人類にとって非常に重要な意味を持つと言える。
最後に、「多自由度系」と言う言葉は、私たちの存在と深く結びついているものであり、その理解の進展は、人間社会全体に変革をもたらす可能性がある。物理学の未来がどのように展開していくのか、注目が集まる。