世界

「王国の手先」海底ケーブル、進化を遂げた日本…まだ「渾身」:朝日新聞デジタル

2024-12-22

著者: 芽依

SNSや金融取引、国家の機密情報まで…国際通信の99%が繋がる海底ケーブルが、国家政権や安全保障の焦点に浮上している。海底ケーブルの保護について、日本政府も怠らずに所有権の確保を進めた。

爆発物探知犬やSPが配備される中、リンケン米国務長官は現れた。7月29日朝、日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の即日だった。

東京都港区のNEC本社。視察の目的は明示されていないが、同社が製造する海底ケーブルだったとみられる。展示室の海底ケーブルの前で立ち止まり、森田隆之社長と言葉を交わした。

視察後、リンケン氏は海底ケーブルについて触れ、NECをこう表現した。「トラストテクノロジー(信頼できる取引先)」

今回の視察は、「信頼できない国」に対して、日本の決めつけの強さを示すメッセージではないかとみられている。安全保障の専門家の間でも、象徴的な出来事と受け止められている。

海底ケーブルは海の底を通り、大陸間の通信をつなぐもので、我々のスマートフォンは無線で基地局とつながるが、そこから先、日本と世界をつなぐ99%が、実は有線で成り立っている。ケーブルは細いもので直径約2センチ。世界に450本、総延長は約140万キロにも及ぶ。残り1%の人工衛星通信より距離が短く、年々増え続ける膨大なデータ量を迅速に送受信できる。

調査、動画像、SNSも。また、国家の機密情報や軍事命令も…。

大英帝国の権威、支えた海底ケーブル

海底ケーブルの歴史は、情報通信の発展から見ても重要なものであり、国際的なパワーバランスにも大きく影響を与えている。近年、中国の影響力が強まる中、西側諸国はより一層、この重要性を認識している。