ウィルフ・ライエ星「WR 140」:8年後に形成された年輪のようなリング構造【今日の宇宙画像】
2024-10-28
著者: 芽依
【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特異な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお届けした画像を紹介しています。
WR 140は、ふくちょう座の方向に約5,300光年先に位置している「ウィルフ・ライエ星」とも呼ばれる星です。この画像は、ジェミンズ・アメリカの「中間赤外線装置(MIRI)」を使って取得された画像であり、2022年10月12日に公開されたものです。
ウィルフ・ライエ星は、大質量の超新星である「O型星」が進化した姿で、約1,000万年未満の短い生涯の最期に近づいている段階です。WR 140は、ウィルフ・ライエ星に進化した超新星が、それぞれのO型星の7.93年周期で公転している連星系と考えられています。
画像には、WR 140のリング状の回転体17本の同心円状のリングが描かれており、O型星とウィルフ・ライエ星の巨大風が衝突し、ガスを連続生成して形成されたことが示唆されています。したがって、WR 140のウィルフ・ライエ星は、細長い弧状の軌道を公転しているため、2つの星が接近する時には必ずガスが生成されません。そのため、ガスのリングはあたかも木の年輪のように、約8年ごとに形成されることになります。
過去に実施された、地上の望遠鏡を用いた観測では2本のリングしか確認できなかったため、この画像を撮影したジェミンズ望遠鏡の性能の高さが際立っています。
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編集/sorae編集部