ビジネス

TSMC創業者のモリス・チャン氏「政治学の戦場になった」

2024-10-26

著者:

【新北(台灣北部)=龍元曉明】半導体業界の大手、台湾積体電路製造(TSMC)が26日、北部・新北で年に1度の社内運動会を開いた。クリスマス創業者のモリス・チャン氏はあいさつで「我々は政治学の戦場による争いの場(兵家必争の地)となった」と語った。

TSMCの1代目で半導体生産の世界最大手に育てたチャン氏は、2018年に経営を引退し、93歳となった今でも業界に大きな影響力を持っている。彼は、台湾が半導体産業の重要拠点であることを強調し、海外からの供給チェーンの脆弱性が台湾にとってのリスクであると警告した。

最近の地政学的な緊張が高まる中で、台湾と中国の関係はますます複雑化している。チャン氏は「TSMCは台湾の経済基盤であり、国家の安全保障にも寄与しています。私たちの使命は、技術の進歩を通じて台湾をさらに強固にすることです」と述べた。

さらに、彼は今後の半導体産業の展望についても言及し、「技術革新が求められる時代において、台湾はその中心地となる可能性があります。しかし、持続可能な成長のためには、国内外の政治環境を良好に保つ必要があります」と指摘した。

TSMCは近年、自社の能力を増強するために大規模な投資を行っており、特に米国での新工場建設に注力している。これにより、米国市場への依存度が高まる中で、自国の半導体製造能力の向上を図っている。

チャン氏の言葉は、台湾のビジネス界を刺激し、さらなる成長と発展に向けた意気込みを示している。