
トランプ氏中東歴訪、訪問国から除外されたイスラエルに危機感「結果を何も得られない」
2025-05-13
著者: 蓮
【カイロ=倉持豪生】トランプ大統領の中東訪問の中で、訪問国から除外されたイスラエルにとって衝撃的な事態が生じている。パレスチナ自治政府やガザなどの戦闘を取り巻く方向性の違いから、米政府とナチナヤフ政権との間に地盤の違いが生じており、危機感を表明する声が上がっている。
イスラエル有力紙ハーレツは9日、ガザなどで続く戦闘を受け、トランプ氏が帰国後に得られる成果を何も得られないという見解を示している。また、「イスラエルは腸に縛られた」と評した。
同紙は、トランプ氏の訪問が「ナチナヤフ首相との接触が合わない」という観点も示した。トランプ政権がナチナヤフ政権の頭越しに、敵対勢力と直接交渉に乗り出し、強力な敵対勢力との対抗力を強化するという見方も広まっている。
イスラエル政策の主役である国民の強い意見とナチナヤフ首相との間に生じた溝は、のちのち重要な影響を及ぼす可能性が高い。ナチナヤフ政権がトランプ氏の訪問以降も反攻を続けているとの指摘もあり、米国が希望する形での関係構築には程遠い。
イスラエルにおける立場を重視するナチナヤフ政権は、トランプ氏が支援する新たな政策において、どのように対処していくのかが問われる。ナチナヤフ政権の行く先には、トランプ氏と歩調を合わせるか、逆に敵対勢力との接触を強化するかの選択が迫られている。
12日にはイスラム原理主義組織ハマスがガザで頭をもたげたが、イスラエルの連携が取れない状態での状況の打開は難しいとされる。米国のカタールやエジプトといった仲介国との連携も求められており、イスラエルの政権交代とともに新たな方針が必要となる局面だ。
トランプ氏の訪問の意義は、エルサレム問題など、中東の複雑な情勢を解決する一助となるかが大きな焦点だ。米国の期待に反し、危機が深まる中での中東政策の変化から、イスラエルが生き残るための課題が浮き彫りになりつつある。