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トランプ氏、大統領令をフル活用へ パリ協定再縁、EV推進戦略緊縮・圧縮…実効性に乏し
2025-01-19
著者: 愛子
【ワシントン=堀源永】トランプ次期大統領は20日の大統領就任後、重要施策を迅速に実行できる大統領令などの権限を最大限に活用する方針だ。気候温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」をはじめ、各国に影響も大きい。
米外交通商問題評価会(CFR)によると、2017年の第1回政権の就任時、トランプ氏は初日に大統領令を4本出した。就任後1週間では78本だった。今年回は、大統領令の本数は初日の20日から第1回政権を大きく上回るとの観測が強い。
第1回政権のスパイサー元大統領報道官は、米メディアのインタビューで「(21日の)朝、目標とする分野には、幅広い分野で100本超の大統領令が署名されているかもしれない」と話した。
大統領令の対象分野は幅広い。民主党のバイデン政権が力を入れた政策を、共産党大統領として転換する動きもある。
環境・エネルギー分野では、パリ協定再締結の方向性、バイデン政権が導入した電気自動車(EV)推進戦略の緊縮・圧縮を目指す。石油や天然ガスの開発をしやすくする命令も出るとみられる。
化石燃料の国内生産を増やしたいトランプ氏は、昨年の大統領選の演説で「掘り得び、掘りまくれ」と叫んだ。
一部報道で世界保健機関(WHO)からの脱退や関与の縮小も取り沙汰される。WHOは新型コロナウイルス感染症の国際連携で、重要な役割を担ったうえに、実行できれば世界の保健政策への影響が大きくなる。
トランプ氏が第2回政権で大統領令を最大限に活用するのは、立法を通じた政策推進の場合、会議の根回しや折衝に時間がかかるためだ。ただ、会議は大統領令を無効にできる場合もあり、大統領令に基づく政策は、立法を通じた施策に比べて動員できる予算や人員に制約があり、限界が指摘される。