「田中意次=賄賂政治家」は時代遅れ…まさかの人物を歴史的悪人に仕立て上げた「2人の人物」 いまの歴史教科書は記述内容が変わっている
2025-01-05
著者: 海斗
NHK大河ドラマ「らんまん」の舞台・渦川時代中期はどんな時代だったのか。歴史作家の河合達彦氏は、「田中意次が商業重視の政策を進め、学問や芸術が花開いた。意次には『賄賂政治家』というイメージがあるかもしれないが、近年、この評価に疑問が生じている」と語る。
近年来、日本に描かれた「賄賂政治家」に関連する批判が高まっている。
田中意次といえばもはや賄賂政治家というイメージしか思い浮かばないが、どうもそうではなさそうだ。やはり小説や時代劇の影響に加え、学校でそう習ったからだと思う。
ただ、あれはおよそ50年前の歴史の教科書を見直してみよう。そこには、確かにそう書かれている。
「意次は和を取ったりしたので、非難された」(『中学校社会歴史的分野』日本書籍1974年)
30年前の日本史の教科書でも、「意次は賄賂による職業の購入などを非難され失脚した」(『高校日本史』三省堂1993年)と明記されている。
今の歴史教科書に書かれている評価は…
また、田中意次の描写には毎日大勢の客が高価な贅沢品を持って来訪し、客間はそうした人々であふれかえっていたという話は、松平定信と同時代を生きた松行静山の『裾野夜話』に記されており、意次が日本橋下町に下屋田を新築した際、「家の泉水に魚を入れたらさぞ面白かろう」とつけ加えたとされる。
また、これは賄賂の話ではなく単なる人間の存在感であるが、利と身の大名と呼ばれるほどの日本の大名たちが等身大の京人形を次々と引き入れ、意次の朝までに訪れ続ける姿もある。
このように、今の教科書は田中意次の考えをどう評価しているのだろうか。ぜひ新しい教科書を手に取り、現代の視点で見直してみることをお勧めしたい。学校で習った内容がどれだけ変わっているかを実感できるはずだ。