糖尿病患者の消耗器症状、睡眠障害と強く関連!
2024-10-29
著者: 弘
糖尿病患者において上部消化器症状(胸やけ、腹痛、膨満感など)や下部消化器症状(便秘、下痢など)がしばしば見られることが知られています。日本人の2型糖尿病患者を対象にした研究によれば、これらの消耗器症状が患者の不眠症と強く関連していることが明らかになりました。この研究結果は、京都府立医科大学の南田教授、岩田博司教授、福井道明教授らによるもので、「Journal of Diabetes Investigation」に2024年3月5日に掲載されました。
研究によれば、消耗器症状は糖尿病患者におけるQOL(生活の質)の低下に寄与する一因であるとされています。一方、夜間高血糖により睡眠が妨げられることや、糖尿病神経障害による痛み、夜間の血糖値の急激な変動を伴うことが、糖尿病患者における不眠症の発症を引き起こす要因として考えられています。
さらに、この研究は「KAMOGAWA-DMコホート研究」の一環として行われ、2014年1月から2022年1月までに登録された2型糖尿病患者を対象に、横断研究の手法で実施されました。消耗器症状の評価には診断基準に基づく「出雲スケール」を用い、各症状について3点から15点で評価されました。睡眠障害については「アテナ不眠症尺度」に基づき、合計スコアが6点以上であることが不眠症とされました。
参加者は175人(男性100人、女性75人)、年齢中央値は66歳(四分位数範囲57~73歳)であり、その中で68人が不眠症と診断されました。不眠症の患者に比べ、糖尿病患者の一部(56.6%)はおそらく高血糖の影響を受けているとされ、ストレスや心理的要因が症状を悪化させることが指摘されています。
ここで重要なのは、研究者たちが消耗器症状と不眠症との関連性について明言したことです。糖尿病患者における睡眠障害は、血糖コントロールやQOLに影響を及ぼす可能性があり、管理において考慮すべき重要な要素です。
この研究は、消耗器症状が糖尿病患者の生活に与える影響を理解し、睡眠障害を管理するための新たなアプローチを模索する一助となることでしょう。今後の研究により、糖尿病患者のQOLを向上させるためのより効果的な治療戦略が開発されることが期待されています。