糖尿病合併症のリスク、なぜ男性の方が高い?
2024-12-16
著者: 蓮
男性の糖尿病患者は、女性患者よりも合併症のリスクが高いことが明らかになりました。この研究では、男性が女性に比べて自己管理を怠る傾向があることが一因であるとされています。ストックホルム大学のアリス・ギブソン博士によると、詳細は「Journal of Epidemiology & Community Health」に2023年5月16日に発表された研究に掲載されています。
糖尿病の罹患率は性別で大きな差はないものの、合併症の発症率は性別によって異なることが示されています。特に心血管疾患(CVD)に関しては、男性患者が有意にリスクが高いことが知られています。多くの研究が男性の方が糖尿病の合併症を抱える例が多いことを指摘しています。
この研究では、45歳以上の地域住民を対象にした前向きコホート研究が行われ、食事、運動習慣、教育歴などの要因が分析されました。参加者には、糖尿病を抱える成人25,713人(男性57%、女性43%)が含まれました。研究の結果、年齢、BMI、有酸素運動レベル、喫煙習慣、家族歴などが合併症リスクに影響を及ぼすことが判明しました。
特にCVDに関して、男性1000人あたりの発症率は43で、女性は30。男性のハザード比(HR)は1.51(95%信頼区間1.43-1.59)と非常に高く、女性に比べて約1.5倍のリスクがあることが分かりました。一方で、合併症の影響に関しては、女性は、事前に心血管疾患を抱えている場合が多く、男性と比較して明確なパターンが見えました。
研究者たちは、男性が健康リスクを意識することが重要であると強調しています。「メタボリックシンドロームの管理や健康的なライフスタイルの導入が極めて重要です。特に男女間での行動の違いを認識し、男性の糖尿病患者に対してより具体的なサポートを提供する必要があります」とギブソン博士は述べています。
この研究の結果は、糖尿病治療の新たな視点を提供し、患者への支援策を再評価する契機となるでしょう。糖尿病がもたらす合併症のリスクを減少させるための取り組みが、今後より一層必要とされます。