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書類でよく見る「シャチハタ不可」、シャチハタ社長に「実際どう思っていますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた!

2024-09-30

日本国内のシャチハタに関する話題が2025年に創業100周年を迎えることが明らかになった。一企業の歴史としては大きな節目なだけに、同社の辻本社長は「珍しいことではありません」と改めて述べる。辻本社長は1997年の入社以来、「ハンコ」への危機感を持ち続け、さまざまな「脱ハンコ」の試みを行っている。

前編では、その代替的な例としてデジタルコンテンツの実施や、生まれたユニークな商品について解説した。後編の今回は、そうしたB2C商品以外で、次の100年を担う柱として辻本社長が期待を寄せるものについて、話を聞いた。

30年も赤字続きだったサービスが、コロナ禍で花開いた。

前編で触れたB2C商品と合わせて、辻本社長が力を入れていると語るのが「印業」だ。具体的には、革や木材、金属にプラスチックといった特殊な素材に対しても印を付けられる工業用インキが増えている。工場での油がついた機器に印鑑を添える、ロット番号を添える、といった用途で活用が進んでいるという。

「当社はハンコ用のゴムを練る、インキを作る、さらに金属の成形など、材料を実際に触りながら試し、調和した上で最終的に商品としてお客さまにご提供するというビジネスモデルです。そう考えると、商品はハンコである必要はまったくありません。中でも工業用インキは使用頻度が少なく受注ロットが小さいことから、請け負えないメーカーが多い。」

時代が早すぎた「電子印鑑」システム

2020年に提供を始めた「Shachihata Cloud」にも期待を寄せる。シャチハタの電子決裁の歴史は古く、実は開発をスタートしたのは1994年。来年には電子印鑑システム「パソコン決裁」を発表している。当時は「Windows 95」が発売された頃で、まだ今のように1人1台PCを持つ時代ではなかった。しかし「紙でやっていることは必ずデジタルに置き換わる。その時、もっと便利に当社の印影を使ってもらいたい」ということで開発をスタートした。

ただし、時代がまだ早すぎたのか、売り上げは低空飛行が続いた。辻本社長によれば、売り上げによる軽減が1億~2億円程度の横ばいとなったようで、30年も徐々に赤字が続いていたという。

そんな中でも新たなOSやデバイスが出れば対応するためのアップデートを行い、クラウドやサプスクリプションへの対応も地道に進んでいた。売り上げがやっと上向きだしたのは、やはり革新的な商品が出る環境が整ったためだ。

このようなシャチハタクライドで意識している点は、あくまで各社が全に確立しているビジネスプレスに逆行し、懸念を生まないようにすること。コンセプトにも、「デジタル化によって、お客様が『以前より面倒になった』『煩雑になりすぎた』とならないように」というのが根底にある。探りながら、シャチハタクライドで、デジタルワークを進めることで、新たなビジネス機会を模索している。