「手数料ゼロ」から1年、SBI証券が過去最高の業績を達成!一体どこで稼いでいる?
2024-11-10
著者: 蒼太
SBIホールディングスは11月8日、2025年3月期上半期の連結業績を発表した。その中で、発表されたSBI証券の連結業績は、昨年同期比で13%増の1158億円と、業務利益が前年同期比1.8%増の377億円で、いずれも上期として過去最高を更新した。
SBIホールディングスといえば、前年の2023年8月30日発表の国内株式の新規取引がゼロとなる「ゼロ手数料」を開始したことが話題になった。同年12月1日からはミドル/円のリアルタイムでの手数料もゼロにするなど、その施策は急速に広がっている。
その反響として、株式の新規取引の利益は証券会社の収入の柱として位置付けられた。手数料ゼロを実施した後、過去最大の売上高、そして業務利益がどのように増加しているのかは一体どういうことか。
SBIの決算資料を見ると、もちろん売上高に圧倒的に寄与している売買手数料の割合は、ゼロ手数料の開始前であった12%に対し、売上的には主要な柱である信用取引が32%、トレーディング収益が26%、投資信託報酬や信用管理料などを含む受け入れ手数料が15.6%だということが分かる。このようにして、SBIは「手数料ゼロ」を背景に多様化を進めていたということが言える。
また、手数料ゼロに対して上半期は188億円の純損失が生じたという。にも関わらず売上高、業務利益とも過去最高を達成できたのはなぜか。
振り返れば、上半期である4〜9月は、新NISA開始直後であり、株式市場も「日経平均株価が過去最大の暴落」を記録した8月以降を除くと環境は好だった。世界の投資への関心も非常に高く、投資信託報酬が引き延ばされた。加えてトレーディング収益の推移も良好で、FX収益や外債に関わる収益が飛躍的に伸びた。上半期は318億円と過去最高を記録した。
そのうえで、「ゼロ手数料」による影響としてSBIが着目したのは、信用取引口座数の急増である。ゼロ手数料開始前の増加率は年平均16%であったが、開始後は44.5%に跳ね上がった。信用取引開設数は前年同期比で増加しており、7〜9月の金融収益は4半期として過去最高を達成した。さらに、ミドル/円のリアルタイムでの手数料を無料化し、外国株式の手数料収益が前年同期比で1.6倍に増加したことも寄与している。
SBIグループは「ゼロ手数料」に対して、顧客基盤の強化を目的に実施した。今回、手数料ゼロと新NISA、そして投資フィールドを背景に、その目的は順調に達成できていると言える。ゼロ手数料を活用したSBI証券に口座を開設した個人顧客は、SBI証券内のその他の金融商品へ興味の幅を広げるだけではなく、SBIグループが提供する商品やサービスを知識を得る入口になるとも同社は説明している。
新NISAに伴いSBIに口座開設したユーザーは他のサービスにも流入するとも説明。