「シュレディンガーの猫状態」23分保持成功! 量子物理学で新記録達成
2024-11-11
著者: 結衣
量子物理学の分野で新たな記録が報告されました。量子状態が同時に存在する状態、いわゆる「シュレディンガーの猫状態」を23分間にわたって保持することに成功したのです。この画期的な研究は、中国科学技術大学の研究者たちによって行われ、学術オープンアクセスサイトarXivに発表されました。
この研究によると、量子状態を安定化させるための技術が飛躍的に向上しました。量子情報処理や量子コンピューティングの技術革新に向けて、量子状態の長時間保持が非常に重要であることが示されています。特に、量子コンピュータはその性能を最大限に引き出すためには、量子ビット(キュービット)の安定性が求められます。
シュレディンガーの猫は、1935年に物理学者エルヴィン・シュレディンガーによって提唱された思考実験です。この実験では、猫が生きている状態と死んでいる状態が同時に存在する可能性を示しています。この概念は、量子力学における重ね合わせの原理を象徴的に表現しており、多くの研究者たちがこの状態を実現しようと試みてきました。
研究チームは、特殊な装置を用いて、量子状態を維持するための冷却プロセスとノイズ低減技術を組み合わせました。その結果、量子状態を23分間安定させることに成功したのです。この時間は、これまでの記録と比べて2倍以上長いものであり、量子物理学における大きな前進と言えるでしょう。
今後、この技術が進むことで、量子コンピュータや量子通信技術に革命がもたらされる可能性があります。また、量子状態の長時間保持が実現すれば、量子エラー訂正の効率も向上し、実用的な量子デバイスの実現に向けた大きなステップとなります。
この研究成果は、量子物理学における実験室での成功例として、科学界に新たな光をもたらしました。量子技術の未来には一層の期待が寄せられており、この成果が新たな発展のきっかけになることが期待されています。