シュプラマンらの実験から100年、発生生物学の第一人者・淡海信夫に聞く
2024-11-02
著者: 愛子
今から100年前、独生物学者のハンス・シュプラマン(1869-1941)は、イモリの腕を用いた移植実験の結果を世に発表し、発生生物学の世界に衝撃をもたらした。この分野の最重要実験の一つとされるこの発表は、高校生物でも学ぶ有名な内容である。体の一部を分化誘導物質「アクチビン」として発見した発生生物学者、淡海信夫(帝京大学特任教授、東京大学名誉教授)も、シュプラマンの系譜を受け継ぎ、この世界に金字塔を打ち立てた一人である。記念の年には、同僚にこの実験がもたらしたインパクトなどを聞いた。
発見された「アクチビン」は、様々な生物の細胞に共通の役割を果たしており、その機能によりいかに多くの生命形態が形成されるかを理解する手がかりを提供している。興味深いのは、多様な生物の中で、どのように同一の機能が特定の環境や条件の中で進化してきたのかという点である。これを探ることは、生物進化の理解においても重要な鍵となる。
さらに、最近の研究では、シュプラマンが発見した「アクチビン」のメカニズムを解明するための新しい技術が開発されている。これにより、細胞の分化や成長過程をリアルタイムで追跡することが可能になってきており、将来的には再生医療や遺伝子治療の分野に革命をもたらす可能性がある。全世界での科学者たちがこの分野に注目しており、その研究は益々活発になっている。
淡海教授によると、「科学とは常に変化するものであり、これからの研究が新たな発見をもたらす期待がある」と、未来への展望を語っている。シュプラマンの実験から100年後、この小さな分子が生命の起源を探る探検においてどのように重要な役割を果たすのか、ますます注目されることが予想される。