世界最速スパコンはAMD CPU+APU搭載の「El Capitan」
2024-11-19
著者: 蓮
第64回となる世界のスーパーコンピュータ性能ランキング「TOP500」が発表される
第64回となる世界のスーパーコンピュータ性能ランキング「TOP500」が18日に発表されました。トップの座に輝いたのは、アメリカ・カリフォルニア州ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)に設置された、AMD製のCPUとAPUを搭載した「El Capitan」です。
El Capitanの構成と性能
「El Capitan」は「HPE Cray EX255a」システムで構築されており、CPUには1.8GHz動作の第4世代EPYCプロセッサーを採用しています。また、APUとしてInstinct MI300Aが搭載されています。CPUとGPUの“コア数”合計は1,103,784、処理能力は58.89GFLOPS/Wを実現しています。
演算能力とピーク性能
その演算能力はHPL(High Performance Linpack)スコアにおいて1.742EFLOPS、システムの合計ピーク性能は2.79EFLOPSに達し、従来のNNLNの最強スパコンであるSierraの性能の20倍以上となっています。コンピューティングノードは11,000を超え、メモリは5.4375PBに達しています。
El Capitanの技術と競争環境
El Capitanは、アメリカにおける基幹的な科学技術の進歩を目指した計算リソースであるため、高度な技術が使用されています。一方で、El Capitanと同様のアーキテクチャや部品で構築されているものもあり、サイズも10分の1に抑えられ、演算能力も288.8PFLOPS(HPLスコアは208.1PFLOPS)を誇る「Tuolumne」なども存在します。こちらは環境変動や高解像度の地震モデル、高度な製造プロセス、持続可能なエネルギーへの調査を進めています。
他のランキングと将来の展望
なお、2位にはアメリカテネシー州のオークリッジ国立研究所(ORNL)に設置された、アメリカエネルギー省(DOE)のために運用されている「Frontier」がランクインし、演算能力は1.353EFLOPSです。こちらはAMDの第3世代EPYCとInstinct 250Xを採用しています。3位には「Aurora」が位置し、演算能力は1.012EFLOPSです。
日本のスパコンと競争の激化
2024年6月時点では、日本の「富岳」が4位に入っていますが、今後はEl Capitanに続く動きが見込まれており、高速の計算力を誇るシステムが続々と登場するでしょう。実際、最近では中国の「HPC5」が新たに477.9PFLOPSを達成し、トップランキングの拡大をさらに促進することが期待されています。全体として、日本を含む各国はこれまで以上に高性能なスパコンに積極的に投資しており、競争が一層激化しています。