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世界的な国債利回り上昇、不安な年明けに-市場「かんしゃく」の様相

2025-01-13

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アメリカをはじめとする世界の多くの国で、今年に入り国債利回りが大幅に上昇しており、不安を抱える人々の目にどうしたトレンドの正常化の可能性が市場で日に日に色濃くなっている。

アメリカ国債利回りは、世界的な借り入れコストの上昇を主導しており、世界的な金利の指標や投資家のセンチメントのシグナルとして、28兆ドル(約4400兆円)規模のアメリカ国債市場で利回りの高止まりが長期化すれば、各国・地域の経済や資産価格にも影響を及ぼす恐れがある。

利回り上昇にはいくつかの要因が考えられる。まず、10日に発表された昨年12月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数の増加が予想を大きく上回ったことに代表されるように、米経済は力強さを維持しており、金利の高止まりが今後も続くとの見方が強まっている。さらに、米金利の高止まりに伴い、世界的な金利も上昇する流れが続いた場合、特に新興国の経済に与える影響は計り知れない。

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また、トランプ次期政権は連邦金利政策を連続的に影響し、財政の赤字増大による物価上昇への懸念が高まっている。加えて、このような要因が相まって、企業の資金調達コストが上昇するため、企業活動が停滞する可能性も考えられる。こうした状況を背景に、投資家の注目は長期国債の動向に向かい、景気の先行きに対する不安が強まる中で、指数の上昇の可能性も残している。

一方、企業の利益見通しが一因で、米国現状の金利水準は長期にわたり続くとの見方が出てきており、業界関係者は「世界的に見てもトランクファンド(かんしゃく)に近い状況が見られる」と警戒感を強めている。

米国市場のこのような状況が続く中、国際的な金融政策の連動度や経済成長の鈍化が予想される中、運用者はますます注視しながら、日本や英国など他の国での国債利回りの動向もチェックする必要がある。

特に、日本においては長期金利に対する抑制的な政策が取られており、日銀は国債の購入を続けていますが、今後の利回り上昇の影響を免れることは難しい状況です。今後数カ月の動向を見守る必要があり、利回りの変動は投資家にとって大きな注目となるでしょう。さらに、新興国市場では資本流出の懸念が広がり、これが不安定な市場環境を助長する可能性があります。